大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録196

2019/10/11 (金) 九条

                   <まとめ >

 1. 「結果として合気道になる」が理想的。連続攻撃練習は有用。

 

頭でなく体で感じる必然性には説得力があります。合気道の代表的な技法を内発的に誘発する、空手の稽古です。

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Fig.1 「殴らないの?」

 

無限連続攻撃の効用
2人組でやります。1人が突を絶え間なく出し、もう1人がひたすら捌きます。今回は蹴りは無しなので跪坐で行います。

 

1.視野が広がる

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 Fig.2 逆手の的の位置に体捌きしていることを自覚する

はじめから「逆半身中段突」と決まっている型をするとき、どうしてもその突きだけに目が行きます。突きをどうにかして、さらに体まで崩せたら上等、という感じでした。

今日の連続自由攻撃では、初めの突きより2発目以降がやばいのだとわかります。たとえ 1発目を捌いても、 相手の体幹を少し傾けさせた程度では、勢いに乗って2発目を出してきます。いい体勢ではない2発目は、力は弱めであっても 仮に刃物を持っていたらそれなりに破壊力があります。軽い2発目でも十分な脅威です。

この練習をすると、自然と1発目を受けながら目と意識は対側の拳に備えている事に気づきます(Fig.2)。そして2発目に対応しながら3発目に体を準備する、たいう流れが続きます。言葉の説明だけで「攻撃者の体全体を見なさい」と言われてもすぐ忘れますが、必然に追われて体がひとりでに取る行動は 多分もう忘れません。よい「観の目」体感実習です。他の武道稽古者にとっては当たり前のことですが、合気道だけやっていると、なかなか機会がない練習です。

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Fig.3 合気道でよくやってしまう、あからさまな「攻撃線の放置」 A: 攻撃の逆の体半分がノーマーク B: 喉から下がら空き  C: 蹴りに無防備

 

 

2.正中から放射状に広がる動き

連続攻撃をされると、突きが出てからではどうしようもなくなるので、「突きが来るな。」と察した時点で入ります。そのうち、「相手がパンチを出そうとしている」のは分かるが「まだ左右どちらかまでは分からない」時点で自分が入りはじめているのに気づくと、もう何となくどちらがきてもいいように両手で応じるしかありません。結果として自分の正中から放射状に腕が出る形です (Fig.4)。合気道では、「バンザイをするように、攻撃を受ける手も逆の手も同じように開く」やり方を初心者には教えます。手だけでなく体で入る練習です。これも、頭で「バンザイしなければ。」と考えるより、相手の連続攻撃に自然とそのファームを引き出してもらうと なるほどな、と腑に落ちます。

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Fig.4  いわゆる「広がるような意識」は 実は空間ではなく"時間的な"要素

 

3. 脇と腰を締めて 肘膝を正中に

上記のように両腕を使うのはよいのですが、蹴りに無防備になります。なので膝で正中を守るように自然と正確な半身になります(Fig.5)。

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 Fig.5 左(裸):立ち 右(着衣):立膝坐位

 

4.間合いの維持、繋がり続ける

突きが1発だけなら飛びのいてしまえばよいですが、連続攻撃では間合いをあけすぎると2発目のいい的です。なので相手の突きにくっつく格好で捌くと、相手の次の動きが伝わるし死角に転がり入ることができます。たとえこのように物理的に接触しなくても、気持ち的に相手と繋がっている間合いを維持すると、次の攻撃を予測したり 上手くすれば誘導できます。

「受けると同時に繋がる」や「繋がり続ける」ことは、合気道で目標とする受け方です。これも「そうしなければいけない」と考えながら練習すると大変難しいことでした。一方、相手にうまく攻撃してもらうと 結果的に「繋がり続ける受け方」を体がしている。湧出する必然性です。

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 Fig.6 必死になると相手に沿っちゃう。悪い事ではない。

 

以上、『合気道でよく指導される格好は "結果"なのだな~』という事がよく分かる練習法でした。