10. 十五夜の歌作発表
月見の夜は曇り空で真っ暗でした。私は表紙に月の絵が描いてある文庫本を桟に立て掛けました。ジェームズ・P・ホーガンの "星を継ぐもの" 。むしろ、いい。
私の小間使いはホーガンを完全無視でした。もし内容を訊かれたら何時間でも解説して月のない十五夜を乗り切る心づもりはあったのですが、さすがはこまちゃん。本を脇によけて月見団子を飾りました。月見団子は色違いの3種類でした。黄色、ピンク、こし餡。見立ては月、アンタレス、暗黒物質かな。飾りの芒は近所には自生していませんでした。代わりにこまちゃんのイタリアンパセリの鉢をベランダから持ってきたら、「余計なことを。」と戻されました。
3人で、月は隠れてやることがない。こまちゃんのアイデアでお月見の歌会となりました。私にとって人生初めての歌会です。私は歌はルールも知りませんが、ビギナーズラックもあると励まされて参加しました。さっそくポメラを回して順に打ち込んでいきます。その後に質疑応答があり、何巡かしてから優勝者発表しました。私は彼らの歌は上手い思いました。とくに優勝したこまちゃんのは。掲載したいけど残念ながら言下に却下されました。仕方ないのでよりによって最下位だった私の作品を記録しておきます。人生最後の歌作だからアドバイスしてもらっても活用しません。心配ご無用です。
1." 犬ってついてくるよね なんで?" ← 頭の悪い尾崎放哉。(評:こ)
2." ムソーの練りごまペーストは瓶の蓋が固い " ←字余りクレーマー。(評:こ)
3." 嫌な職場:公文書に元号、シエスタがない、会議がある" ←ニート大喜利。(評:キ)
ひどい。