大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録174(2019/8/12)

2019/8/12 (月) 友達の稽古会in 神戸

                   <まとめ >

1.  方向性を消し一点で繋がる

2.そのまま等速で運ぶ

 

Dr.Hの公開講座2回目がありました。「感触の相互作用技術」に対する練習方法(メソッド)について研究されています。イメージ法や精神論一辺倒になりやすい内容を、純粋な身体操作からアプローチすることで汎用性を高めているのが特徴です(イメージ法が合う人はそれで良いのですが、向き不向きがある)。節目ごとに研究発表することは、ご本人にとっても良いまとめになるのでしょう。毎回進化しています。内容の一部を書きます。

 

1. 接触の復習 ~ 接触点は一点で引っ掛ける。

1-1. 手のひら練習

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 Fig.1 座り片手持ち呼吸法

感覚の練習をする目的では、腕をわざと柔らかくして相手に次の刺激が入りやすくします。また相手に握られると どうしても寄りかかったり押し込んだりしやすくなり、方向性が出てしまいますから、相手には「手のひら摩擦」で持ってもらうのがやりやすいです(Fig.1)。そうして手のひらの一点に、デコピンでも朝顔の手でもいいので刺激を入れて相手を固めます。あとは結んだ一点に集中して緩まないように崩していきます。

この時も 握られているとその一点でなく相手を押し込む部分に気を取られます。特に、等速運動が押し込む方向にずれてしまいます(Fig.2)。また、強い力を受けると相手に送る刺激を大きくしてしまいがちです。有るか無しか程度の刺激が作りにくいし、相手も反応しにくく 難しいのです。だからはじめは手のひら摩擦で持ってもらいましょう。

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 Fig.2 結んだ一点でなく、相手の腕を操作しようとするのは良くある失敗。ぶつかります。

 

1-2. 握られても同じように

ここからは私個人の課題ですが、上で得た感触を握られた状態でもできるようにしたいです。ほんとうに慎重にやらないといけません。受け方にもこちらの目的を理解してもらい協力してもらう必要があります。

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Fig.3 手首全体にかかる握りの圧力に惑わされず一点で中心を取っていく。握られるとつい相手の腕を操作できそうに思ってしまうが、まじめに動いてあくまでも中心につながった一点で釣るように、慎重に。

 

1-3. 型に応用する可能性

この感覚を型に持ち込むとき、まず立ちはだかるのは力の増大です。理屈では力の多寡は関係ないはずですが、実際強い力を急に受けたときに平静を維持することの困難さは誰でも知っているでしょう。対処の1つが「折れない手」てすか、これを作ること自体が自分の感度に厚布を被せるような障害にもなります。

難しい点

  • 折れない手にすると感覚が鈍る →より精密で質のよい「折れない手」を作る。
  • 強く握られる緊張感 → ギュッと握られる圧を放置して、引っかかった一点に集中する。
  • 相手の力が強いと外に逃がそうとする → 脇を締めて自分の間合いから出ないようにする。
  • 相手が強いので力で押せそうな錯覚を持ってしまう → 一点が同じ角度で接するように体を捌く。それは同じ出力量で相手が動く角度。力を増やさないといけなさそうな時は、自分の位置と姿勢を見直す。

 

1-4. 持たれても力まない工夫①:一点を棒のように

そういえば、これを初心者にもやりやすいように工夫している先生がいました。要は「本当に繋がった一点」と「握られたために繋がっていると錯覚する面」との混同が問題だから、両者が一致するような持たせ方をすれば良いということです。橈骨(前腕の親指側の太い骨)と手根骨(手のひらの根元)を一体にする手の形を持たせた瞬間につくり、相手がそこを押してくるようにします(Fig.4)。[握られた面の進行方向]=[一点と相手の中心を繋いだ線]にするのです。もちろん技の中ではこのように都合よい持たせ方ばかりできるわけではありませんが、初心者に中心を攻める練習として教えるには良いなと思いました。うまくされると受け手は、棒の先で押されるような、しかも突き飛ばされずに運ばれるような、中心を取られた時の感覚を知ることができます。

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Fig.4 片手で繋がっているのに、腹の一点を棒でまっすぐ突き続けられたように体から崩れる

 

1-5. 持たれても力まない工夫②:中心帰納

手のひら摩擦でも、握られるのでも、持たれる瞬間は方向性を消すというのがポイントです。消したつもりでもなかなか消えません。こんな時には、やはり中心帰納がとても役に立ちます。中心帰納の講習が8/25に大阪であります。ご興味のある方は7/31の記事「夏の稽古会いろいろ」を参照してください。

 

2. 刺激しない刺激入力
うまくいかない時は、刺激の入れ方が強すぎる気がします。刺激の入れ方はさまざまで、手でも腹でもいいのですが(Fig.5)、その刺激をいれる動作を「しようとしたけど思いとどまった」ときくらいの微妙すぎる動きがちょうどみたいです。ましてや その刺激動作そのもので相手を動かしたり、勢いをつけたりするものではありません。一見そう見えても、それは固まった相手を等速で運んでいるだけです。

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 Fig.5 好き好きに。

 

 

 

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 Fig.6 渾沌先生:「目耳鼻口を無くせ。」鼻は無理です。