大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。漫画、小説、修行の旅が混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。

稽古記録53 (2018/9/2) 無元塾

  2018/9/2 (日) 17:00-19:00 新宿区スポーツセンター

                   <まとめ (記録51-53共通)>

 1・手と腹をつなげる

 2・良い姿勢を保つ

 3・道を譲る

 

東京3連続の3箇所目。成田新十郎先生の流れをくむ無元塾白石先生です。公開講習会でない普段の稽古に参加させていただきました。初めて稽古に参加させていただいたのは丁度1年前でした。その時と同じ内容をやりましたが、その時と比べて理解がずいぶんよくなりましたよ。新たな理解で今回の内容を記録します。※あくまで私自身の理解なので齟齬がありえます。皆さん自身で実際に体験することをお勧めします。

    ⇒無元塾(講習会のお知らせはこのページの下)

 

 【1】スタート状態=相手に入る

手を合わせて釣り合った状態を作ります(Fig.1 A)。実はこのときはどうしても力んだ姿勢になっています。「良い姿勢」を作りましょう。一旦5mmほど腰を落としてから戻ります。こうしてリラックスした立ち方になると重心が前方に移ります(B)。そのぶん受は圧迫され、重心が上に浮きます。その原理は下記。

 f:id:fanon36:20180907095527p:plain Fig.1 「良い姿勢」とは自然でリラックスした姿勢

合わせた手の位置と圧力は変えないように注意しましょう。腰を落とすときにふと緩まないように。糸電話の糸をピンと張りつづけるイメージです。結び目(合わせた手)が緩んだり引いたりすると、受にぐっと入り込まれます。

 

 【2】相手の前から消える=支えをなくす

お腹を緩めます。自分が一番リラックスできる状況を思い浮かべて、そのときのお腹の状態です (Fig.2A)。意識が結んだ手首からお腹へ移り、腕のりきみが取れます。この脱力で、受は身体的な支えを失って少し前に傾きます。

同時に頭も空っぽにしたいところですがそれは難しいので、かわりに注意散漫にします。「今何時かな?」とか「あ、後ろの方で他の団体が楽しそうだな」とか、要は受以外の漫然とした周囲に気を取られることにより受に集中していた意識をなくすのです。それによって、受は精神的な緊張感が逸らされて、気持ち的な支えも無くします。身体的にも精神的にも目の前の取が消えたようになり、受は一瞬前につんのめる恰好になります(B) 。その時取は腹を少し回すと(「腹を回す」と言う時は、水平方向だけでなく垂直方向も忘れずに)、受はより崩れます。

f:id:fanon36:20180907095557p:plain

 Fig.2 あらゆる方法で支えをなくす。手の位置は維持したまま。

      ~リラックス〜
上記の方法はお腹を完全にリラックスさせるための方法の一例です。自分なりのやり方でいいです。お腹を左右にふるふるするのもありです。なれたら意識の置き方だけでリラックスするようにします。

 

 

 【3】相手に道をあける

受はこの時、前半に傾きたいが目の前の受が邪魔です。なので道をあけてあげると受は自然と崩れたい方向へ崩れます。道のあけ方は膝を使って垂直方向の運動をうまく使います。経過記録52のU先生が言う「よいポジション」をとります。

      ~  〜受の行きたい方向へ〜
スタートの「相手に入る」をした時、受が敏感だと浮くだけでなく後ろに反り返ることがあります。この場合、前方の道をあけるのは的外れです。受は後ろに行きたいのだから、受からみて斜め上方から放物線を描いて呼吸投げなど、後ろ受け身をさせるのが自然です(Fig.3)。受の崩れ方に合わせて優しく落とせば、それが結果的に何らかの合気道技になっている、というのが理想です。

f:id:fanon36:20180907095646p:plain

 Fig.3 「あの技をしよう」ではなく、「何かの技になってしまう」という順序

 

 【4】縦の力に変換する

このように、受を浮かせたり落としたりすることから分かるように、通常水平方向にかかる力を縦方向へ変換する操作がキモです。両手襟持ちをしている両肘を少し上げてやるだけで、受の力が半減しますね (Fig.4=稽古記録4 Fig.1)。逆に両手持ちで押されても取がよい姿勢になって(いわゆる(浮いた体」)になると受ける力が縦方向に逃げます。さらに、足が自由になるので「水に浮かぶ瓢箪」のように水平方向にも力を逃がすことができます(Fig.5B) 。(浮いた体については稽古記録5を参照)

  f:id:fanon36:20180907100658p:plain Fig.4= 稽古記録4 Fig.1再掲。受が浮く原理。

 

 【5】何度もやり直す

受の崩れをサポートする際に、受も立ち直り反射がありますからそのままではぶつかります。ぶつかるたびに取は「良い姿勢」と「相手の前から消える」をやり直して、結び目をほんの少しズラします。

 

 【6】回転する球→点 でずらす 

ずらすとは何でしょうか。正確に相対して立ちます。そこから相手が数ミリでも移動すると、何か居心地悪さを感じます。ズレは少しでも効果があります。

このズラしが、どの方向ならうまくいくか色々試してみてください。私の場合は引っかかるのは縦方向運動を忘れていることが多かったです。水に浮くボールをつつくように、全方位に回転してください。

合気道の技」にこだわると、その技の形に持っていくためにズラす方向が制限されます。しかし、結び目も、相手や自分の中心も「中心線」ではなく「点」であると考えると、そこ以外の全ての方向がズレに当たります。中心のイメージをボールから、質量のない点にまで収束できれば、全ての僅かな動きは即ズレの効果を持つということです。

 

【7】縦方向の上、下、真ん中

姿勢を良くすると、上半身はすっと天井に伸びます。足は下へまっすぐ畳を踏みます。すると真ん中のお腹は空虚になり、軽く自由に動かしやすくなるのが分かります(Fig.5 A)。逆にお腹に力を入れてしまうと中心点が固定されて回せませんから、力技になってしまいます。

この良い姿勢で手を使うと、いわゆる「合気下げ」の感触になります。

f:id:fanon36:20180907095715p:plain

 Fig.5 縮こまると居着いてしまいます

 

 【8】上達のラダー

ここまで、あえて細かく分割して段階的に練習しました。最終的には、全てを同時に一瞬でできることが目標です。先生の動きは気づかないほど小さいので、ほとんど意識の置き方のみで行っているように見えます。さらに結ぶ前、構えた段階で「相手に入る」を済ませているので、受は触った瞬間に何もされていないのに崩されるように感じます。 

先生は、この質感を体得するために段階的な練習を繰り返すことの大切さを説明されます。1年前に言われた「薄い膜を1枚1枚根気よく剥いでいくような作業」という表現がとても印象に残っています。つまり、時間はかかるが、逆にいうと やりさえすれば誰でもそこに到達できるカリキュラムだということです。運や才能に拘わらず、努力しただけ報われるという価値観に、私は共感を覚えます。

 

ご興味のある方は、このページの上のリンクから是非先生の公開講座を体験してみてください。普段は東京ですが近日大阪でも行われますのでお見逃しなく。

mugenjyuku8-aiki.jimdo.com