2020/11/7 (金) 中央区
1. 表裏は「相手」の重心移動方向の違い
四方投の足捌きにおいて、表は自分が相手の前面(前の三角点)、裏は相手のうしろ(後ろの三角点)に入る、というのが習い始めの説明です。
合気道では相手を効率的に振り回すのではなく、相手の方が自然に自分から倒れたかのように誘導するのが理想的です。そういう観点から上記の足捌きを考えてみます。
1.四方投・表
受は反転はしますが、もともとのポジションからみて前方に倒れます。だから重心は前足にキープさせておきたいです。反転させるために深く入りすぎると、この時点で受の重心は後ろ足に移動してしまいますから (Fig.1)、最後に投げる時には受は強い姿勢になっています。ここから投げを強行するにはかなり力づくになってしまいます (Fig.2) 。反転させるときには相手の裏に出てしまわないことが注意点です。
Fig.1 A: 受の重心は前の右足(→)。 B: まだ重心は右足のまま。ここで反転すればよい。 C: 仕手が受の後ろ足よりも裏に出てしまい (→)、受の重心は後ろ足に移動している。
Fig.2 A: 受が前足重心のまま反転すると、重心は後ろ足 (V1)に来るので、落ちやすい点 (☆) にそのまま落ちることができる。 B: 逆に後ろ足に重心が移動すると反転したとき前足重心 (V2) なので、四方投げで落とすべき点(☆)はまだ受の強い間合いなので堪えやすい。
2.四方投・裏
裏投げの場合は逆に受にとって後ろ側に倒れるので、受が後ろ足重心になるように誘導します。足の裏だけ考えると、爪先の方から踵の方に重心をスムースに移動させるとき、足の外側を通すのが自然です (Fig.3) 。反転するときはそのような経路をイメージしながら強すぎず弱すぎず、ましてや受の肘を傷めつけずに丁寧に運びましょう。
Fig.3 A: はじめ受は前足の前方に重心 B:左脇に入ると受の重心は前足小指側に移る C: 更に反転すると受の重心は後ろ足に移り、受の間合いの外にまで運ばれる。
3.裏表は「押されるか、引かれるか」の違いだけではない。
合気道の技には裏表があります。単に仕手の足捌きだけではなく、受の重心位置を誘導する方向が違うのだということを念頭に置くと、どんな相手にもある程度対応できます。