2019/4/30(火) 15:30-17:30 地下道場 参加者:6名 負傷者:なし
1. 因数分解した40因子 前半
2. 脇を締める広背筋の鍛え方
当稽古会の公開稽古会5回目です。今日のテーマは「技の徹底的な因数分解」です。まだ青写真のアイデアですが、今回はゴールデンウィーク中に合気道に飢えて寄り集まったオタク的な人達の日であり、しかも流派が様々であるため、ブラッシュアップしてもらうことができました。皆さんありがとうございました。ブログをみて来てくださった新しい参加者さんもありがとうございました。
1.素材「練習の表」の妥当性。みんなで使ってみる
合気道を練習していて混乱することがあります。技の名前が、それを構成する特定の一動作を指したり、同じ名前でも動作が違って見えたりすることも原因だと思います。そこでラ合気道の技を因数分解し、合気道として意味を成す最小限の身体操作因子単位を洗い出してラベリングしてみましょう(巻末付録マトリックス参照)。 それをもとに、実際の練習に使う形にしたものが「因子大分類」「因子小分類」「その代表的な型の例」を示した表です(Table1)。
Table 1 因子分類と型の例
今回は手(No.14-24)と体軸(No.26-31)とアウトプット(No.33-36)をやりました。ところで二人組でやる場合、こちらのアウトプットは相手のインプットであるのは当然なのに区別する意味があるのか疑問に思われるかもしれません。アウトプットは自分の側の要素が強いものです。極端にいえば相手は物体であってもよく、とにかく効率的にエネルギーを伝達するものです。インプットは相手側がどう感じるかという相手側の要素が強いものです(合気道と合気の区別:稽古記録96 参照)。
2.実験の背景
よく使うと思われる身体動作因子(F)が40項目あります。受のあるアクションに対してある因子で応答したときの型がどういうものかを表したマトリックスが巻末付録です。例えば正面打ちというアクションに対して因子「手の動き・回外運動」で応答すると入身投げで稽古するのが分かりやすいだろうというものです。
このマス目は人それぞれが自分の分かりやすいものを作るとよいのですが、いったんこの棚が頭にできると「今、自分は何を練習しているのか。先生は何を教えているのか。」が理解しやすくなるでしょう。よく白帯の人が「同じ型なのに、日によって先生はやり方が変わったり、先輩によって教えることが違う」と悩み、ずいぶん遠回りするのを見かけます。なぜ私たちはいつも混乱し、多くの白帯の人はせっかくの努力に見合った成果が出にくいのか。それを考えて思いついた原因を、少しは解消するのではないかというのがヒントです (Fig.1)。因子の網羅は一見大変そうですが、この表を使う場合ですと週に1因子学べば、1年で頭に棚ができます。
Fig.1 F=因子 T=型。それぞれの因子が時に合成されてある型として表現される。違う因子が同じ型の原料になることがある。帽子の男が「型A」と言ったとき、生徒1は「因子1と因子2を合成して表現される型A1」を想起し、生徒2は「因子3の表現型としての型A2」を想起する。型としては同じだが、要求される身体操作因子は違う。A1、A2、A3の数字に当たる情報が、日常稽古では省略され、理解にギャップが生じている。Fのレベル(⇒マーク)にまで次元を落としてから再確認するのが本日行った内容です。
3.楽しく広背筋を鍛える
急に話題が変わりますが、自然に脇が閉まる体づくりのために、鍛えにくいと言われる広背筋のシンプルなトレーニング法が紹介されました(Fig.2)。当稽古会は先生というものはおらず、お互いの道場ではじっくりできない個人のテーマや疑問を思う存分ぶつける場です。合気道には相手が必要ですから、どんなにつまらないテーマでもお互い様として付き合うのが礼儀ということにしていますが、実際は背景の異なる参加者が持ち寄るものは多様で、それが楽しく毎回とても役に立ちます。今回も空手系の練習方法を知ることができました。肩こりも取れます。背中にびっしょり汗をかきます。
Fig.2 広背筋(A)。思い切り収縮させると上腕が前方にだしにくくなります(B)。それをできるだけ前に出す。さらに内旋すると背中に負担がかかります(C)。
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巻末付録:合気会合気道を元にした身体操作因子と攻撃のマトリックス初版 (2019.4.29)