2018/7/30 (月)18:30-20:00 地下道場
合気と合気道の統合1回目:
何らかの方法で重心を不安定にする。
※ 「合気」と「合気道」の使い分けは、稽古記録43を参照ください。
【1】小さい刺激を入れる
◼️ 刺激の目的は2ミリのズレ
座り呼吸法など座法でやってみるのが分かりやすいです。持たせた部分でわずかに刺激を入れると、受は「あ、ちょっと動いたな。」と認識します。しかし、実はこの少しの刺激に反応して、受の背骨と骨盤がほんのわずかに後退しているのです。本人も気づかないこの重心のズレのために、弱い体勢になっているのです(Fig.1A)。今回使う合気のポイントはここです。
Fig.1 目に見えて動いているのは手。本当の目的は受の骨盤。立ち技でも、この骨盤のズレはおこる。
◼️ 合気道に併用する
座り呼吸法を合気道的にすると、背筋や下半身を使って自分の力を最大限に使って受の重心を崩します。これに上記の合気を併用するときのコツを述べておきます。
① 構えの時点での「折れない手」の脱力感を ふだん以上に精密にする。
② 持たせると同時に受にごくわずかな刺激を入れる。この体勢の場合だと、受の肩口に向かって ぴくっという小さく素早い動き(腕橈骨腱反射のような)をさりげなく入れる刺激方法が使いやすいです。
③ 一瞬おいてから速やかに受を崩しに行きます。崩し方は合気道のやり方でいいです。
合気によってすでに受の重心はずれているので、合気道だけでやるより軽く崩せるのが分かります。
◼️ 注意点
● 2ミリ以上動かないこと
この重心のズレは外から見てわかるものではありません。骨盤がほんの2ミリの動く程度にとどめます。慣れなければ本人も自覚できないくらいの微妙さです。目に見えて受が動くような時は失敗です。
● タイミングを逃さない
受の重心がずれている時間は1秒もありません。自分にとって危ない体勢ですから 本能的に立ち直ろうとするからです。ちょっとした刺激 (またはほかの方法) によって、受が「動いてはいないが、無自覚に重心を失っている瞬間 (magical moment)」に技をかけます。
【2】無意識動作に合気を併用
◼️ 合気道的呼吸上げ
諸手持呼吸法などの時に、持たせた腕を軽くあげるコツはさまざまです。持たせたところはそのままにして動ける箇所を動かしていく 梃子の方法。自分の姿勢を正すことで中心をずらす方法。また、頭を掻いたり ビールジョッキを持ち上げたりする時の無意識動作の強さを使う方法。いずれも力学的合気道です。
◼️ 無意識運動のおさらい
今回は最後の無意識動作の合気道に 合気を併用してみます。まず無意識動作はポイントもコツもなく、ただ癖で煙草をくわえるときと同じ 最短距離で最も効率の良い、無意識の筋肉の協調運動です(Fig.2) 。手をがっちり持たれた状態で こういう無防備な動きは難しいものです。繰り返し練習して意識的に無意識的になる感じを体得しましょう。
※ この意識については 当ブログ内「中心帰納稽古1. Fig.3『中心帰納まんが』」(2017.11.25)、「『仙腸関節を意識する』ときの意識」(2018.4.7) を参照ください。
Fig.2 次元大介になりきろう
◼️ 無意識化を刺激が邪魔しないために
この無意識動作の前に、マイクロ刺激を発動します。立ち技ではさらに分かりにくいですが、受は少し不安定になります。その結果、持たせた手をより軽くあげることができます。しかし、意識的無意識動作はただでさえ難しいのに、その直前に意識的に刺激を入れる動作を行うとなると、無意識化は更に高度になってしまいます。
その一助として、構えた段階での状態を丁寧に作ることが挙げられます。受が握ったときにまるで死体の腕を握るような頼りなさを感じるくらいの完全脱力。張りがないぶん、機を逸して押し込まれないようにセンサーは敏感にする必要があります。
<Debreafing>
結局 強い人はどんなやり方でも強いものですが、合気道ですから あえて チカラをできるだけ使わずに行うことを目標にしています。合気を掛けられる感覚やオドロキは内的な体験なので、外から見ると間が抜けた稽古風景でしょう。
できるだけ多くの人が参加できるように、次回からはオープンに開催していきます。告知はFacebookとTwitterとメーリングリストで行なっております。またこちらへのコメントでお問い合わせくださっても構いません。
@まことや本舗(北区天神橋1丁目11-3) お好み焼きと カレー。元蕎麦屋で出汁の風味が売り。安くておいしい。
終