2017.10.12
【謎空間】
子供の頃は、長く苦痛な座学のなかで たまーに楽しい実験がありました。
今は大人なので、座学は無視して楽しい実験だけすることができます。
おやつやおもちゃの「大人買い」風に言うと、「大人実験し放題」です。
神戸の あるスペイン料理店。夕食の客が訪れだす頃、隅のテーブルが実験室になる夜があります。今回のテーマは「衝突」だそうです。
【運動を表す】
物体の動きを表現するときに、そのパワーの量を言ったり、方向を言ったり、表現方法は一つではない。エネルギーで言ったり運動量で言ったりする。私が何を見たいか？でどちらに注目するか選べる。あなたの声を評価する場面で、私がブルース歌手を募集している時はあなたの声の艶やかさを知りたがるし、アナウンサーを募集していたらあなたの発語が明瞭かどうかを知りたがるでしょう。たぶん、そんな感じ。
・ エネルギー＝1/2*m*v^2
・ 運動量 ＝ m*v
【実験】
コイン実験。同じ種類のコインであればぶつかったコインは相手を跳ね飛ばしてそこで止まる。
金属の球がぶら下がったおもちゃ（冒頭写真 ”ニュートンの揺りかご®”）と同じで、左の1個をぶつけると右端の1個が跳ねる。ではコインを3万個並べて右端以外の29,999個をテープで一体にしたら？左端に1個ぶつけると右端の1個が跳ねる (Fig.1 上）。
【謎の嵐】
29,999個を鋳造しなおして同じ重さの羊羹状にしたら (Fig.1 下)？
Fig.1
また、コインは3万個並べても、左端に1個ぶつけると右端の1個が跳ねる (Fig.2左) が、3万個を上に重ねると(高さ15メートル）、1個のコインをぶつけてもびくともしません(Fig.2右) …なぜ？
Fig.2 月までコインを並べても同じ
コインがぶつかるにしても、スピードがとても緩くて（コインの裏に三葉虫のような足があって）じわじわ左端にぶつかるので、まるで押しているように見えるくらいだったら (Fig.3)？
Fig.3 A:猛スピードでぶつかるコイン B.ゆるゆるとぶつかるボーリング球 C:0.1mm/秒でぶつかる三葉虫コイン
今回の実験では、日常の力の伝達とイメージが違いました。それは
並べたコインやニュートンの揺りかごで伝わっているのが、力のなかでも「衝撃波」というものだからでしょうか。ふだんの「自転車を押す力(Fig.4 左)」と、「並べたコインを伝わる波の力」の印象の差でしょうか。
では自転車を押す力ではなく、波の力になる条件は何がありますか？
①同じもの（密度・形）であること（いや、Fig.2の鉛の羊羹は形が違いますが、いかにも粗密波が伝わりそう…??） ② 接触が一瞬（というより、くっついていてもいいけど力の入力が一瞬）であること ③硬いこと（波の伝達が速い）… が思い浮かびます。
しかし自転車だって、厳密にいえばハンドルの原子がつぎつぎに接触して伝わっていく縦波で…と考えると (Fig.4 右)、何が違うのか分からなくなります。
Fig.4 マクロでみるとただ押してる、ミクロでみるとぶつかっているチャリ
また、隣のものが自分と同じものであるとは、どうして鉄球にわかるのでしょうか (Fig.5)？
Fig.5 まるで知能と感覚器があるような鉄屑
【押すと運動、衝突すると波動??????????】
衝突は力の入力が一瞬であるもの。では一瞬とはコンマ何秒までを言うのでしょうか？？物質は、「あ、この力は1/100秒以上かかったな。自分的には入力がゆっくりすぎるから波を発生はナシね。」と判断できないはずです。上記の硬くて同型の三葉虫コインからみると、じわじわ押しでも十分「スピーディ」かもしれないのに？
謎が謎を呼んでいます。
【次回】
地球独楽、バイクなど、「傾く回転体に生じる力」
