2019/9/6 (金)
1. 「重い腕」の1分実習
2. 呼吸リズムそろそろちゃんとしよう。
合気道の道場では「呼吸」という単語を聞かない日はありません。しかし技の遂行に忙しく、なかなか呼吸に合わせた動きだけを練習する暇はありませんね。今日はそんな「何百回も聞いたけどそういえば出来ていない本質っぽい要素」を具体的な反復練習に落とし込みました。
1. 重い腕
1-1. 腕が重くなるわけではない。1 minute実習
合気道で使う「重い腕」は、自然体とか無心だとか気だとか色々表現されますが、その現実には何が起きているのでしょうか。空手の先生が「1分で分かる!重い腕の種明かし」キットを自作されました。ほんとに1分。体を使いこなすには練習がいりますが、理解には1分です。目からうろこ。
1-1. 実習
1m上から落下してきた重さ2kgの物体Mを、地面に落ちないように受け止めるとします(Fig.1 図い)。腕、腰、膝と衝撃を分散して、安定した低い姿勢で受け止めるのが普通です(図ろ、は)。しかし物体Mの下に自由運動する水平バーをかませると、受け止めきれず体が崩れてしまいます(図に~へ)。Mだけの場合は受け止めるときに水平方向のベクトルをわずかに加えることで(図はf2) 自分の中心で受け止められる上に垂直方向の力(f1)が減弱するので受け手に有利です。水平バーをかませてMが垂直にしか運動できないようにすると、受け手は自分の中心で受けられないし、落下Mがまるまる手にかかるという弱い体勢になります。
Fig.1 図は:F1>f1,
1-2. 重い腕、ではなく「相手が弱くなる」
当たり前のことながら、「重い腕」は腕が重くなるわけはなく、相手にとって受け止めにくいように方向を調整することだな、とわかります。その調整には大した力はいりません。力に対して90°方向(Fig.1 f2)だからです。この理屈では、受け手は足を移動させれはやはり強い体勢になれます。実際繰り返し同じ練習をすれば慣れて対応できます。しかし触れた瞬間にスッとやるとなかなか防げません。
そのベクトルを作る操作(f2)が、「腕ではなく体で」とか「無心で(相手方向ではなく自分の軸だけなら垂直に運動するはず)」などと説明されるのでしょう。物体を使った実習は、人間同士で行うより有用であることがしばしばあります。合気道を学ぶ人を混乱させるのは、力学的な作用と生理学的なそれが混同して説明される場合です。物体を使った実習は、ある作用の根源がどちらに起因するかを客観的に腑分けするのに有用で、私は好きです。
2. 「呼吸でリズム」体操
Fig.2 最終的には気持ち程度の呼吸にする
呼吸とは、ここでは単純に息を吸ったり吐いたりすること、とします。空手道場でやっているのは、推手のように二人組になり、相手の足から引っこ抜くように息を吸って、自分の足に下ろすように吐く(Fig.2)。このリズムが重心移動といい感じにシンクロして、楽しい練習です。退くなら前に出てから、下がるなら上げてから、というわずかに逆の動きを入れる時に息を吸うと、自然に「ちょっと前でちょっと上」な運動が発生します。わざわざ意識して動かなくても、吸気の動作が前・上の傾向を持つからです(Fig.3)。今は大げさに呼吸音がうるさいくらいですが、そのうちさりげなくできたらいいな。
Fig.3 単純に吸気では体腔容積が増えるから、体が膨れる。
私のスケジュールはだいたい柔術のあとに空手という組み合わせです。お互いに関係ない道場なのですが、毎回 まるでシリーズ講座のように内容がリンクしてるのが面白いです。柔術では吸って吐くリズムの中で動くこと、特に要所で息を止めることの重要性(Dr.Hのメソッドでいう"静止"フェーズ)が強調されます。しかし私は型に必死でそんな場合ではありません。なかなか呼吸まで意識が行き届かないなぁ、遠い道のりだ…と思っていると、空手で「手に届く範囲の呼吸の体操」が出てきたので ラッキー。すーはーすーはー。
Fig.4 そういえばやってた動作
この体操、一人でゆっくりやると太極拳なのです。私はもともと太極拳の教室が無くなったとき、「なにか軽い運動を…」と始めたのが合気道ですが、最近合気道の練習の中でちょいちょい太極拳が顔を出すのが懐かしカワイイです。ちなみにこの呼吸体操は扁沈というそうです。名前があるんだ。中国ってすごいな。
3.足の裏で感じよう、落ち着いて、
先週は膝までしか意識できませんでしたが、今回「足の裏、足の裏…」と思ってるとなんだか足の裏がうずうずして、パタパタしてしまいました。たしかに相手の拳にとらわれずにはすみます。注意力散漫になりすぎて。
Fig.5 「あーウズウズする」※他の人は落ち着いている。