5. 夏の二重螺旋茶
真似たものが、真似られ、またそれを真似る。ということがこの夏起こった。
ある日、わたしの麦茶のピッチャーが消えていました。こないだうちで催された、真相不明のパーティーの時に、割れたらしいです。夏季は毎日、麦茶を作るので新しい瓶を買い物リストに加えました。わたしの小間使いは当面の無瓶状態に適応して、2Lのミネラルウォーターのペットボトルの空容器に、水出し麦茶を作った。たしかに、それで用は足ります。夏の間 カラペットボトルが定期的に生じます。それでこと足りるため、瓶は買い忘れたままです。
で、こまちゃんはある日 「おーいお茶 緑茶」のカラボトルに、緑茶を冷たい水で抽出して、澄んだ緑を作った。可能な限り「おーいお茶」を再現したかったそうです。自家製の無限おーいお茶。
なんか変なじゃないですか?ペットボトル茶は、家で作る手製お茶を真似た商品です。昔発売され始めた時は、お茶をそうやって外で買うのは変な気がしたものでした。いま、そのペットボトル茶を、家で真似して再現しています。
そんなことは時々あります。人を真似た人形を人が真似る。ほんものをまねたミニチュアを本当に使えるように精巧につくる。現実を投影したアニメの肉を現実に再現してメニューにする、など。
相補的に真似し合いながら、進化する。お茶を作るのにも、DNAのやり方を引き継いでしまっています。どこまでも、プログラムに支配されている。ゼロから全く新しいものを作ろうとして、作れた試しがない。それが枠に閉じ込められたようでわたしはもどかしくて仕方ないのに、お茶までそんなことするなんて気が滅入ります。
こまちゃんはそんなことは意に介さず、今週は難関の「十六茶」にチャレンジしています。けっこう再現度が高い。仕事に持っていく水筒に詰めてくれる。