2019/7/5 (金) 18:20-20:30 吹田道場 吉田先生
1. 軸の一点にひっかける
2. 力の方向のさらに先
3.剣の自習
接触部分をクローズアップされました。以前から「あれなんだろう?」と不思議だった一点接触を 初めてきちんと練習する日でした。できなかったけど。分からないまま乍らイメージを残しておいて、後日練習しようと思います。
1. 接触面積の大きさ:一点接触
接触部分に注目しました。握るのを掌接触にすると面積は少なくなります。掌一部接触だともっと小さいです。面積が小さい方が相手の力をコントロールしやすくなることを練習しました。
<正面打一教押込>
正面打ちを打たせて両手で受け、一教に返します。勢いで紛れないためにゆっくりやると、状況によって力の入る方向がとても変化して、大変でした。「こういう型」と思い込まずに、柔軟に動く方向を探らなければなりません。
<突転換呼吸投>
取が片手で突きを掴むとき、開いた掌の面で受けるとき、掌で拳の一点に接触するときで力の感触が違ってくることを確認します。それぞれは接触面積が違うだけでなく、くっつき方が違うように感じました。握るときはとてもふんわり、掌面接触ではわりとしっかり圧を感じ、一点接触ではフックで引っかけられた感じです。これらは互いに別種のスキルかもしれませんが、難しくてよく分かりませんでした。取が「最も軽い」と感じる一点接触が、受としては一番グイと引かれるように感じるのは面白いです。
<掴まない相半身回転投げ>
胸の前で固定した拳を掌で回して転換します。拳の骨の抵抗を感じる程度の圧が必要に感じました(E)。
Fig.1 A:逆半身 B;相半身一教 その他雑多なイメージ
2. 力の方向の一歩先版
力の方向については長らく練習してきました。今日はその力の体の外の軌道です。
<正面打二教>
押さえ込んだ段階では受はどのような力の方向を持つでしょうか。一番は指の方向(Fig.2 A①)、肘も押さえを解いたら上がってくるでしょう(②)。Aのポジションでは力①に対して逸れた位置になります。力①を受ける方向に移動すると(B)、力①の方向通りに受の手を二教に掬い易いです(C)。ポテンシャルに力②という上方に行きたい力もあるので、その方向をサポートすると三教です(D)。
Fig.2 いつもの体勢以外もありうることを考えてみるのは新鮮です。
できる出来ないはともかく新しいことは楽しいです。まぁいつかできるだろ。と言えないところが合気道にはあるので不気味ですが、次の稽古会までに何かしらはできるように頑張ります。
< おまけ:剣自習 >
1.腰で抜く
抜刀の動作は手刀を正中で切り上げるものですが、手よりも腸骨棘を前に持ってくるとよいと教わりました。すごくやりやすいですね。やはり困ったときの骨盤です。骨盤が解決する問題の一例が、前回武器の授業でやった剣の切返し(稽古記録154参照)です。
Fig.3 鞘をもって腰を回したら自然に手は柄に届く
2.切返しはたいへん
苦手な後ろ歩きがあること、腹の前以外の位置で剣を構えることなど、むつかしさの複合体です。最近の課題である「後ろ歩き」から考えます。
3.後ろ歩きはたいへん
左右の正面切りで前に足を出すのは微調整しやすいです。後ろに足を下げるときは、その足の位置&角度が大雑把になります。たぶんこうなっているだろうという体性感覚と、実際に視認したときとのギャップが大きいです。人は後ろの感覚が粗いからです。後ろに足を出す動きでは、毎回見て確認する手間が面倒です(畳の縁や大きな鏡をがあれば楽だと思います)。しかもブレがひどい。なぜ後ろ歩きはこんなにふらつきやすいのでしょうか。
Fig.4 後方は無防備で不器用
4.後ろ歩きがぶれる原因
原因には、腹側と背側との解剖学的な違いに起因するもの(下記①②)と、単に慣れない動きであるから(③④)という2種類がありそうです。
- 原因①:膝関節の屈曲方向の関係で、前足爪先で蹴る力の情報成分が消化しにくく、頭の位置を一定にしにくい。ひょこひょこと浮いてしまいます。
Fig.5 膝の構造のため、B後退では床を蹴るV2の縦方向成分y2を打ち消す動きに制限がある分、体が浮く
- 原因②:前進するときは、上半身の左右非対称性を解消するために骨盤をやや前に押し出す動作が必要ですが、後退しながらだと逆方向の力になってしまう。
- 原因③:後退につかう下肢の筋肉が、あまり使われないので未発達。
- 原因④ :最適な位置に足を着地できない
などが考えられます。このうち①、②が骨盤の動かし方で対応可能です。どうということはないのですが、ひたすら骨盤を床と平行に滑らせるイメージでやると、股・膝・足関節が協調してくれます。とてもやりやすくなります。原因③④は練習していれば自然に解決するでしょう。
5. 正面打ちと左足後退の相剋
上記の原因②で触れたように、左前構えからの後退では、剣を正中に通すために左肩を僅かに引きます(Fig.6 Aa)。左股関節を前に押し出しながら(b)、左足自体は後ろに出す(c)運動になります。実行するには、骨盤を正面に固定したまま左足だけを後ろに出すか(B)、もしくは一旦骨盤を左後ろに回転させてから踵がついた時点で前に押し戻すか(C)の2通りです。ふつうに考えて後者じゃないかなと思います。動きの科学を追求しているクラシックバレエの動画で似た動きを確認するとそのようにみえます。ので暫定的にそちらを採用してます。(骨盤関係なく腰椎だけで調整することは、可能だが危ないのでナシ)
Fig.6 B:骨盤固定し足だけで後退 C:骨盤ともに足を後退し足が設置してから骨盤を戻す
6.お腹以外で構えると剣が落ちてくる
もう一つの新しい動作がこれです。切り返しでは剣の握りを顔の横に持ってくるずいぶん高い位置です。何回もしていると垂れ下がってきます。たぶん手だけでやろうとしているからのように思われます。
切り返した剣が、その遠心力と腕という等尺の紐とのバランス(細かくいうと重力と初速も)で進めば、自然と顔の横くらいの高さに来てくれるようです(Fig.7 A,B)。それが落ちるのは腕が下方へ引っ張るからです。自然に運動をする剣の行く先へ素直についていけば、握り手部分は顔の横以下には下がりにくいです。剣はなんとなく姉御ですから、彼女の行きたい方向を邪魔すると関係が悪くなる気がしますね。尊重しましょう。
Fig.7 C「ちょっと!足を引っ張らないで!」