大阪合気道自主稽古会

合気道経験者のための不定期な稽古会です。忙しくて道場に通えないが時々稽古したくなる人向け。流派は問いません。

冥王星島15

先輩の帰郷 (中)
終業後 1人残って裏戸以外の戸締りの確認をしている寺久さんは最も年若というわけではないが、なんとなくこういう役割である。 一旦無人になる役場。裏戸を開けているのは、今日はみな早々に帰宅して風呂に入ったり子供に支度させたりしてから、戻ってくるからだ。書類を全部壁際に寄せて広くした休憩室には、柿ノ本先輩の酒瓶が勇壮に肩を並べている。町内に限って言えば、本当のお祭よりも先輩が帰って来た日に突発的に開かれる役場慰労会が上だ。数時間後にはどんちゃん騒ぎになる予定の部屋が今は静まり返ってよそよそしいのを ぼんやり眺めていた寺久さんは、鴉の声で我に返って裏戸を出た。

 

田圃の真ん中をまっすぐな帰り道に、電信柱の灯りがともりはじめた。遮るものがない道は、普段は木枯らしが思うさまに吹いているが、今宵はしんと凪いで闇、灯り、闇。
田圃が切れて民家が並ぶ地区に入る。家々の窓から漏れる蛍光灯が視界に入るせいで、民家の路地は田圃の真ん中より闇が濃い。寺久さんは襟巻きに埋めていた顔を上げた。あの家はこの帰宅路沿いにある。

(続く)

      f:id:fanon36:20170925114910p:plain

冥王星島14

先輩の帰郷 (上)
冬に最大のお祭りがある。夏祭りでも秋祭りでもない。それは年の押し迫った頃だ。奇祭というほどではないが、その日は仕事も学校も休みになる一番の関心ごとだ。しかしここ、丹前町では事情が違う。

続きを読む

稽古記録2017/12/11

  ★ 基本 ★

体捌きから見た基本技:腰が低くないと動けません

  <稽古記録>

2017/12/11(月)18:30-20:00 地下道場  <参加者>2名 <負傷者>なし

いつもの準備運動は1人体位の転換です。体の使い方の練習なので、実際の体位の転換のように手の位置固定はいりません。自然な重力加速度で回る。砂の山から掬ってむこうに放るように (Fig.1)。

f:id:fanon36:20171212115733p:plain Fig.1 上肢はブラブラ

今回は体捌きを基本技のなかで応用します。

続きを読む

冥王星島13

夜中よく目がさめる。随分たったかと思うのにラジオ番組の進み具合からすると数分寝ただけだった。不眠症とは思わない。子供の頃からそうなので、作にとってはこれが夜というものだった。

夜半、意識の焦点は変容する。囚われることはない。毎回 夜が明け闇が溶け去り、生活の音が聞こえだすと、ゆっくりと水面に浮上するように日常生活用の意識へスイッチすることが経験的に分かっているからだ。このスイッチの身も蓋もないことといったら、現実感たるものの大幅デフレを思い知らされて、その矮小さのあまり朝っぱらからがっかりする。
それでも過度に狂気めいた考えに取り憑かれた夜は、本当にこの考えが今回も朝になったらちゃんと消えてくれるか、少しは不安だ。

今朝はものすごい水音で目覚めた。秋の夜明け前。豪雨だった。縦方向の洪水。寝る前に開け放していた、庭に出る窓の際の廊下は水浸しだった。大量の水に叩かれて古い屋根が傾ぐようだ。
明け方にだんだん雨脚は弱まった。ついにはやんで、うす青いコオロギが鳴くほどになった。今起きた人にとったら今朝は、秋草から雫を落とす可憐なコオロギの音で始まるのだ。黎明の豪雨、あれは世界が自分だけに見せた本音の姿だ、誰も信じまい…。作のこういう孤独癖はなんとも愛嬌がある。四十を越えてうっすらと自覚もしてきた。

                   f:id:fanon36:20170925114910p:plain

 

冥王星島12

コロ太は君枝の店で分けてもらったおかずを弁当にしてブラブラ揺らせながら、大粒の白砂が散らばる舗装道路を歩いている。サンダルが砂でちくちく心地良い。海が近い9月の午後4時。

続きを読む

稽古記録2017/12/4

    ★ 基本 ★

・ 浮く体=低い体、は両立する ・鍛えることは大事

  <稽古記録>

2017/12/4(月)18:30-20:00 地下道場  <参加者>2名 <負傷者>なし

前回に続き体捌きをじっくり。

【1】沈む

合気道は上体を固定し股関節以下だけで動く。そのままでは可動域が狭くチョコマカした動きになります。腰を十分落とすと可動域が広がり、速く大きく動けます (Fig.1 C)。

f:id:fanon36:20171206134602p:plain Fig.1 低いのに浮いた体

続きを読む

合気道に於ける意識の取扱い

前回まで無元塾の特別稽古参加記録でした。そこで学んだ中心帰納は、私たちの道場でいう「内面技法(意識の使い方で技をかけること)」と似た部分もありました。この機会に内面技法の扱い方について書きます。

合気道意識の種類】

■ 対物と対人を区別して理解する

大手系列の道場でも、「技がぶつかるときは自分で勝手にぶつかっているのだ」とか、「力の強い人に掴まれて動けないときは、自分が勝手に動かなくなっているのだ」という、意識使う系の指導は耳にします。どういう意味でしょうか。以下の2通りの意味が考えられます。

① 平常心で実力を出すという意味?

上記の階段昇りや物を持ち上げるのに役立ったように、平常心で実力が出せれば、物体としての人間に対しても、緊張して硬くなるより効果はありそうです。しかしすごい力持ちが相手では、実力を出しきっても全然かないません (Fig.1)。

f:id:fanon36:20171201081800p:plain Fig.1 猫と象

続きを読む