2019/10/6 (日)
1. 体の自動操縦を宥めるためのイメージ法
2. 体の自動操縦を自覚する練習法
違う場所で同じアドバイスを聴いたときは、気になります。注意点としての優先順位が高い項目だと思うからです。いまだに「手だけ、腕だけ」で動いてしまっているのが、最近すごく自覚していたのでなおさらです。
1. 下から上へ伝わる力をイメージする(だけ)
少し前に、柔術で正面打を抑え込むとき先生から注意を受けました。「力は足、膝、腰、肩、膝、で最終的に手に伝わるイメージだ。ただし実際は同時。」(Fig.1)。今日は剣術で「動きは足から上がって腰、肩、剣、と動くと想像しなさい。でも本当にやったらあかんで。実際は同時やからな。」とアドバイスもらいました。
Fig.1 クレヨン書きの順序はイメージだけ。実際は全体同時に動く
2. 体の無意識の動きを抑制する難しさ
あくまで実際の動きは全身同時です。しかし「技をかけよう」とか「斬ろう」とすると、うかつに手先だけで動いてしまいます。これはちょっと気をつけるだけでは私は抑制できません。
ためしに相手に力いっぱい押さえてもらいながら技をかけてみると分かります (シンプルな座り合気上げなど。いろんなやり方がありますが、ここでは手首や小手先の動きを封印できるか確かめるのが目的です)。自分は『絶対に手首は固定している』つもりでも、相手は「あ、今動かした。あ、また。」と言います(Fig.2 A)。逆に自分が相手を押さえつける役割のときは、(うわー めちゃくちゃ末端を動かしてるぞ!?これでも本人にとっては動かしてないつもりなのだ。自分もこうなっているのだな。)と分かります(B)。
これはなんとなくゆるく稽古してるだけだと感知できないため『これだけ気を付けてるんだから 自分はできているはずだ。』と錯覚してしまうかもしれません。結果、周りから見たら稚拙なのに本人だけできてるつもり、という状態になっちゃうと悪夢なので、たまには本気で組みあう必要があります。
Fig.2 人の事はよく分かる。深部感覚(関節の動き)よりも、表在感覚(手のひら)の方が鋭いから。A:「君、すごく手首動いてるよ」 B:「あ、本当だ」
3. 逆のイメージで抑制
この実習で、普通に気をつけるだけでは手が先に動いて体が置いてけぼりになるのを抑制するのは非常に困難だと分かりました。そこで「末端が動きにくくなるようなイメージ」を使うのでしょう。足の裏から体を伝って何かが手先から吹き出すとすると、居着きやすい足から動いて体、最後に手、という順に動きたがります(Fig.3 右図)。プラスマイナスしてちょうど「全身が同時に動く」を得ようというのです。
Fig.3 [手から動いて剣が泳ぐ 無意識のダメ動作]+[足腰から上がった力を剣で真正面に放るイメージ] = ふつう。
2人の先生が揃って言い添えたように「本当にそうせずに、イメージで留めとくこと。」を守らないと副作用で逆に変な動きになるわけです。
4. 工夫いろいろ
合気道では「自然の状態最強」説がありますが、自然の状態といっても多層的です。その自然状態こそが自然の動きを邪魔したりすることもあるという複雑さを知っているので、先生達はそれをコントロールする工夫を凝らされます。ちょうど、私の杖の先生の先生の著書に、そういうことが書いてありました。合気道は相手の反射を利用するが、自分の余計な反射的動きは逆に抑制しなければならないこともあり、それは一朝一夕ではできないのだなあ。なんでもいい事ばかりではない世の理を再確認させられました。
できない理由は、その頑張りと努力にあった 武術の稽古で開けた発想
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