大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録86 (2019/3/20)

2019/3/20 (水) 10:30-11:30  吹田道場 吉田先生

                   <まとめ >

 1.  合気下げ

 2. イメージによって選択した未来を確定するには、無意識の体捌きを癖として叩き込んでおくことが必要

 

イメージの作用

1. 入身

入身の速さは運動能力やタイミングというよりイメージの問題です。相手より先に思うことです。相手に合わしていては、必ず動きも相手より遅れてしまいます。例えば正面打ちを避ける位置へ移動するときは、移動完了時点での状態をイメージし、それに自分を一致させます(Fig.1) 。受けのモーションを合図にして行動開始するのではありません。横から見ていると受が正面打ちを自分から遅くしたように見えますが、受から見ると 相手が急に消えたように感じます。

f:id:fanon36:20190320171609p:plain Fig.1 余裕を持って ふと避けたように見える

 


2. 完了したイメージにワープ

相手と対峙したとき、不安が湧き上がるかもしれません。技ができないかもしれない、とか、押し込まれるかもしれない、とかです。この 不確定な可能性の海を、先生は「グレーゾーン」と呼んでいるように私は考えます。それを解決に導く「可能性領域」では、自分が選択した近い未来(この場合は技を完了した状態)を自分が選択するのです(Fig.2)。

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 Fig.2 合気上げ。触れる前に結ぶことで自分の「確定した未来」に相手を巻き込む




3. 現象より先に意識

もうひとつ、意識の使い方の練習です。両手を軽くバンザイして、片方を受が両手順手で持ちます(Fig.3 A)。持たれた手をヘソのあたりまで下げようとしても、強く持たれると下がりません。

手で頑張っていると、相手の抵抗に会い、それに対して自分は(動かないな。じゃあこうかな?)と反応して、また新たに動かそうとします。そこで更なる抵抗の感触に会う…となります。「相手の反応を感じる」→「それに対する認識と反応」というふうに、相手の出方の後に自分の意識が追従する順序です。それではいつまでも自分の意識が相手を追い抜くことはできません。

解決策の1つは、相手の反応を予測したり伺ったりしないことです。例えば「あ、これは無理だな。諦めた。殺されよう。」と本心から降参しますと、意識は相手の反応に無関心になります。その時、相手を追い抜くことができます(B)。「降参しよう、しよう」と唱えても心の中で逆襲のタイミングを見計らっているのでは意味がありません。一瞬ほんとうに諦めるのです。先生はこれを「スイッチを切り替える」と言います。

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 Fig.3 受は AとBとで明らかな「握り心地の違い」を感じます。



4合気下げ

諸手取りを落します。握らせた両手首は気にしないでへそから降ります(Fig.4 A)。といっても接触部を気にしないことは難しいです。まず折れない手を作ったら上半身は固定で放置。そして尻餅つくように お尻から床にどーん!と落ちます(B)。腹で降りる感覚がわかります。重心は案外後ろだなーと分かるでしょう。そして折れない手も相手に引っ張り上げられず、ちゃんと相手を引き落としていることに気づきます。

次に、剣を持ってしゃがむ時の動作をします(C) 。諸手を取られていることは忘れて、手には剣だけを持っているかのごとく軽やかに。上肢には剣を支えるだけの筋力しかいりません。この感じが合気下げです。

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Fig.4 必ず段階的に練習を。初めから最終形を目指すとネガティブな反射が形成されてしまいます

ここまでは受がかなり協力してくれました。最後にほんとうに強く止めに来た受けにも合気下げをかけるには、前もって結んでおくことと、無意識のしゃがみです。

このしゃがむ体勢は日常生活では使いませんから、よほど練習してとっさにできる癖をつける必要があります。グレーゾーンで 顕在意識の命令なしに取れる動きは、染み付いた癖のような「とっさの捌き」だけです。練習しましょう。