9.宇宙コンパス
朝 植木鉢の水やりに外に出ると、地軸が傾いていた。陽の光がすごく秋でした。
季節のうつろいは、毎日は分かりませんが、72時間も違うと空気の変化が感知できるほどになります。私は年中それを面白く実感しており、自分の中に「いま自分がいる惑星が公転軌道のどの辺りに位置するか」のセンサーがあることにドキドキします。私はかつて宇宙船で活躍した人型マシンではないかな?宇宙コンパスが搭載されている…。
私の小間使いはそんな「機微」を蹴散らして、「暑い!」「寒い!」のみで押し通します。「同じ30°という気温でも、少しずつ秋の30°になってく」という私の意見はたわ言として黙殺されます。こまちゃんは現代生まれの地上要員だから、コンパスは搭載されていないとみえます。しかし、お月見にはつきあうと言いました。ふだんは月なんかに興味なさそうですが、ドライな地上要員なりに気を遣っているのでしょう。ありがたい。
そこで昨日、月齢表を見ながら日程を選んでいると、こまちゃんは「見る人の心ごころにまかせおきて高根に澄める秋の夜の月 。」と言いました。え?ドライな地上要員…?!