大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録146 (2019/6/22)

2019/6/22(土) 10:00-11:30 武道場、18:30-20:00 住吉道場 吉田先生

                   <まとめ >

 1. 指から出たり入ったりさせてみる

 2. 膝の故障を予防

 

体のコントロール領域を広げるために色々試してみます。

 

1. 手を下げる三種

腕のホース全開にしていろんな方向にぶん回してみましょう。逆にぶん回されてみましょう。楽しい遊びにも。

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 Fig.1 A:中心に B:斜め前に C:転換して


2. 一教返前受身・三教

同じような感覚で一教返し持ちしてもらい、転換して前受身や三教をしてみましょう。

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 Fig.2 指の方向が自由端で土台も動く構造物

 

3. 一教返一教押込

逆に立てた前腕小太刀の先から柄方向へと重力通りに力が流れている気持ちになってみましょう。上記2の前受身や三教が自分の指先に導かれていたのと逆に、肘が自分の体ケースに収納されるように納めやすくなります。拘縮肢位は拳を体幹につける形なので、捻りながらの収納になります(Fig.2 B)。その動きに受がついてきていれば、受けの肘が返っているのでそのまま一教にできます(C)。位置によっては返して入り身投げできます。

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 Fig.3 逆の流れイメージをトライ

 

4. 呼吸法: 母指方向に注目

座り呼吸法で、受が手のひらを腕の下にぺったりつけて浮かしに来た時には親指を弱化する対処法をやりました (稽古記録144-3参照) 。流れという観点からは、親指をパキとダメにするというより四指方向(前方)へ向かう相手の流れを親指方向(回外方向)に流れを変えてやることです(Fig.4)。

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 Fig.4 鉄道好きのアイドル 転轍機

 

 

今日は力の強い人達と組ませてもらい、びくともしませんでした。いつかこれすら動くのでしょうか?小柄な友達は色々試して体重120kgまでは持ち上げられることを確認したそうです。技かできなくても、自分の今の地点をプロットする作業として役立ちます。今日できなかった相手に来週かけられることを目標にすればよいのです。

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 Fig.5 少なくとも力の違う相手と組んだときに怪我をしない練習にはなる。不用意に親指を引っ掛けたままにして折られない、とか。


5. 多人数正面打ち

難しいです。相手を必ず見、かわして自分を守ることが第一であるとのことです。そういえばハバナの道場では毎回最後に1人づつやっていて、白帯の人でもとても身のこなしが良く感心しました。まず慣れが大切でしょう(もしくは兵役があるので、全員これくらいできるのかも)。

 

6. イメージ法との付き合い方

イメージは本来意識が支配できない範囲の身体機能をコントロールする方法の一つです。稽古では様々なイメージ法を例示されます。自由な発想が多く面白いものですが、同時に先生は繰り返し「自分がそう感じたらそうだとして便利に試すと良い。しかし、それを絶対的な事実として一般化したり、それにとらわれたり、拡張しすぎた適用をする必要はない。」と注意喚起されます。「事実と価値」を混同するなということでしょう。この古典的な二分法は社会学レベルに当てはめるのは単純すぎると思いますが、具体的に限られた問題では分かりやすくてよく使えます。例として、ある1つの治療を語る時(延命しうる=事実v.s.それをすべきかどうか=価値)などです。なので合気道でも、枠を取り払った自由な発想は奨励されるべきだし、役に立つ上に深刻な副作用もないでしょう。 私たちがそれが「合気道を上達する」という目的のための手段の一部であることを忘れさえしなければ。

 

7. おまけ:剣の自習問題

7-1. 膝をレファレンスポイントとして使う意義はあるか

つま先を相手に向けるのが力を有用に使う基本ルールです。しかしつま先が相手を指していても、膝が内外に出てはいみがないので、さらにつま先に膝頭を一致させる作業も必要です。その癖をつける練習のやり方についてです。

足関節より股関節の可動域が広いため(Fig.6 角度αおよびβ)、まず足位置を固定してから膝位置を揃えるより、逆の順序のほうが誤差が小さいです。もちろん完成形は膝もつま先も骨盤も一瞬で決まることですが、それに至る練習では1箇所づつ確認していくので、まず膝を相手に向け、その膝からみてつま先がどれだけずれているかを補正していくのが早道のように思われます。

膝とつま先の方向がずれていると、力が抜けるというより、膝の靭帯と半月板を慢性的に劣化していくという問題が大きいです。出来るだけ長く合気道をできるように、予防したいものです。

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 Fig.6 角度0:真正面  角度α: 股関節の水平方向の可動域  β:足関節水平方向可動域  ◎:相手の位置 A:大腿骨中心線 B: 第1中足骨内側 

 

7-2. 正面切りの左右非対称性の処理

剣は右手を前に持つので体は左右対称ではありません。それをどこで解消すれば一番負担がないのでしょうか。右足前のときは両肩の前後方向のズレ(Fig.7 Aγ) は足の前後と相殺できて楽です。骨盤は左に開くので左踵が床を強く踏み(B)、正中(臍)はやや左向きになるはずです。左足前のときはねじれが生じます。そのねじれを上半身で解消すると剣先のブレがものすごいので、自由度が高い骨盤・股関節コンプレックスで調整するとストレスがないと思われます。後ろ足の大腿骨頭が骨盤を前に押し出すようにして骨盤を前に戻すかんじ(C)だと、上半身は大人しく骨盤にのっかったままで楽です。

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 Fig.7  骨盤股関節は自由すぎるためにベストの角度を探すのが大変ですが、いろいろ試してみましょう。

 

7-3. 真上からの斜め切り

先週、真上から剣を斜めに振り下ろす切り方を学びました(稽古記録143参照)。なんだかやりにくく、腕だけが疲れてきます。斜め上から切り下したり横に流した状態から回してくるときと違って、逆方向のモーメントがないため出だしで遠心力が使えず筋力だけになってしまうためかもしれません。一方向に四肢を動かすときに少し逆方向に引いてから行うことはよくあります。助走をつけるのです(Fig.8 B,C)。なので、真上からの斜め切でもスタート時に僅かに骨盤を逆に振るなど何かしらの方法で逆方向モーメントを加え、助走をつけると腕とても楽に斜めに切れます。

しかし格闘技ではノーモーションでいきなり動くというスキルも大切と聞くので助走に頼るのはあまりよくないかもしれません。

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 Fig.8 机をバン!と叩く人は一旦手を少し上に上げてから急に叩き下ろします