2019/6/14 (金) 18:20-20:30 吹田道場 吉田先生
1. 腹から生えた手
2. ゼロ気圧化
持たれた部分を腹に連動させる日です。
< 前半 >
1. 両手持呼吸投
上下運動です。久しぶりに腕から大きく上下して相手を落とします(Fig.1 A)。落とした時には指を相手に向けて入られないようにキープします(B)。体幹を回すことで呼吸投げします(C)。落とした時点で手を体につけておくと、腕を使ってしまわずにすみます。
Fig.1 B:手首の伸展で指を相手に向ける
2. 両手持回転、両手持四方投
相手を腹にもらうのを分かりやすくするために、取らせた両手を合掌して腹につけます (Fig.2 A)。ここまできっちり体幹と手を一体化すれば、相手がどんなに押してきても押されているのは手でなく腹であることがわかります。腹を振って、ついてきた相手を落としたり四方投げたりします(B, C)。
Fig.2 お腹にくっつけた手はお腹から生えてるのと同じつまりお腹。
3. 胸持一教押込
胸持ちに来る相手の腕に手を置いて落とします(Fig.3 A)。この時点では一教に取れる形ではありませんが(B)、時間軸を加えると接点の集合は球(というよりメビウスの輪とかクラインの壺状態)なので、切れなければ表と裏をひっくりかえすことができます(C)。反対の手を相手の肘に置いて防御すると同時に誘導します(D)。
Fig.3 自分が先でなければ誘導できません。
4. 両手持正座
立位で取らせた両手を波で膝くらいまで落とします。そのまま自分が正座すると相手も畳につきます。相手が乗ってくるので膝に置いた両手を押さえつけられています(Fig.4 A)。これも前出2と同じく、相手が押しているのは手でなく膝なので(B)、たとえ全体重で押さえつけられても手は自由に動きます (さらに押さえつけられるのが膝でなく畳だと考えると、後出7のように膝も自由に動きます)。自由な手を膝表面で滑らせるとベクトルがずらされて相手は重力で転びます(C)。
Fig.4 手を系F,-Fから無関係の因子にするには、手がF方向の力を受けないことが肝心(持ち上げようとしない)。取の手がF方向に抵抗しない限り、受の手が受けている反作用ーFは取の膝から発している。手は力を透過させる無存在。
< 後半 >
5. 上段突体位転換、小手返
上段突きを相半身の手のひらでもらって内転換し、前受身させます。また、転換ではなく退きながら拳を落とします。剣で相対しながら退くときと同じで入りながらなので、下がっても押し込まれることはありません(Fig.5 A,B)。外転換しながら反対の手で持ち替えて小手返しにします。
Fig.5 座標1はA→Bで座標系自体が(座標2に対して)動いている。座標1内の黒メガネはx軸方向にに動いておらず、加速度がないので押し込まれる要因がない。
6. 胸持二教
短刀を手にしていると想定して、その刃の方向を気にしてやります。刃を相手に向けて肘から逆手に切るように捌くのですが(Fig.6 A)、短刀というより先生の肘から先全体が小太刀のように見えます(B)。いずれにせよそうやって主導権を得て、畳に手を置きます。あとは肩で二教にします(C)。
Fig.6 上から押し下げるのではなく縦に持たせても下がるという例
7. 坐位から立つ
正座している状態で背後から肩持ちで体重をかけられます。軸をまっすぐにして立ちあがり、あとは歩いて振り返るだけで貰う&投げるになっています。前屈みで米俵を背負うような力仕事ではありません。逆に、腰の刀を立膝で抜くときのように胸は広がります。
Fig.6 深海300mの高足蟹には1cm平方当たり31kgの力がかかっているが、内圧と外圧が釣り合うので本人にとっては「ゼロ気圧です。」