大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録116 (2019/5/19)

2019/5/19 (日) 10:00-11:30 地下道場 負傷者0

                   <まとめ >

 1. シュートを決められるようになろう

 2. 下半身筋トレしよう

 

今日は来月の演武会のリハーサル日でしたが、結局ほとんどいつもの感じで 時間は飛ぶように過ぎてしまいました…。

 

入るとは

さて、最近の話題は「入る」とか「意識で入身する」とか「合気」とか 道場によって呼び方は違いますが、懸案の 「アノ作用」問題です。

不親切で恐縮ですが今回は、"あーアレ問題ね"、と思った方だけ読んでください。

 

バスケもすごい

「入る」ことについて色々試しましたがあまりに分からないので、参加者の「バスケのフェイントと似てるんじゃないか」という意見を掘り下げてみました。確かに、スポーツと武道は違うとはいえ、人類最高の身体能力を持つプロバスケ選手のスピードで至近距離でしかけるフェイントは通常の思考と反射神経速度を超えています。お互いプロ同士では予測だけでは簡単に引っかかりません。本気で打ちに行くとディフェンダーに思わせる捌きと、一瞬で変わる方向。では彼らはどういう練習でしのぎを削っているのでしょうか。

 

攻める選手は何をしているか

良いオフェンダー(取) の条件を調べてみました。① 行動の選択肢が多い(パス、シュート、ドリブル全てが上手い選手は次の動きが予測されにくい)  ②シュートを決められる能力(最終的にシュートが決められない選手は抜かれたところで怖くない) ③ 駆引きの頭脳と身体能力 など。

 

練習方法

ここで私達ができる練習といえば「②シュートを決められる能力」でしょう。実際に相手を切ったことがない人は、「本当に切る」意識状態・動作は作れないでしょう。しかし人を切るわけにいきません。そこで実際にごく軽い攻撃的接触を伴う練習をしてみました。小さいものを投げることにします。紙製刀を使うとすぐ殺陣ごっこになって良くないです。

 

クマ投げ

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  Fig.1 貸し道場に飾っているクマぬいぐるみ

相半身正面打ちに対して 打ち下ろし動作が開始される前に制する感覚(取 受両者とも)を私達レベルで実感する練習です。実際に物を投げてしまえということです。受の顔に向かって、当たっても大したことない小さい物を投げると、受はもちろん反応して正面打ちを止めます(Fig.1 A)。足元に投げても止まりません。顔面を狙います。

次に、手に物を持ってふと出すだけで、受は止まります(B)。物は投げませんが、投げたとして顔に当たる角度で出すのが大事です。「いまにもシュートしそう」な緊張感を相手に与える動作です。

できれば最後に、「物を握ってはいるが実際は全く手を動かさずに(顔にぶつけてやろう…)という意識のみで受の正面打ちを止める。」の実験ができればよかったです。なぜしなかったか覚えていませんが、途中からクマ投げゲームになってしまってたかもしれません。

 

守る選手は

一方、ディフェンダー(受)はどうやって対応するのでしょうか。よいディフェンダーに要されるのは、上記の ①下半身の力(機敏に対応。特に上下方向の動き幅) ② フェイントを読める実践経験値  ③ 相手の重心移動を見極めて次のアクションを読む(敵が動き始めてから反応しては遅い) ④足だけに注目する(難しい相手の場合、上半身のフェイントにつられず とにかく足を止める) ⑤ ハンズアップ(Fig.2)  ⑥横にへばりつく(側面であっても嫌な感じです) ⑦間合いをとって観察(一旦下がって相手の全身をとらえる) ⑧相手の中心以外のどこかに触る(明らかな妨害にはならない箇所でも圧を加えられると人は動きにくい) ⑨ひっつき続ける鬱陶しい粘り強さ などだそうです。

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 Fig.2 守備のハンズアップ。届かない間合いなのに 敵の動きをかなり制限できる

ディフェンダーはすごいテクニックを要しますね。当然、実際のゲーム中はこんな事考えていたらできないそうです。普段に練習するのです。これらディフェンダーのテクニックを無効化する方向の技術が合気道の取には要求されるということです。

 

練習方法

上記の①下半身の力、は合気道の練習として案外抜けがちです。バスケ選手のあの上下幅ほど動くこと(Fig.3)は そうありません。しかし動けるだけのポテンシャルはフェイント(破り)には必要です。当稽古会は 足首と股関節の筋力アップ大好きなので 今後も筋トレを続けます。

f:id:fanon36:20190519223845p:plainFig.3 相手を全方向に振り回す驚異の壁

 

③重心移動を読む ④ 下半身に注目

動いていないのに入身できる人を少し離れて観察すると、腹(袴のリボン部分あたり)がわずかに前にシフトしていることがあります(Fig.4)。上半身は距離を詰めていないので対峙した受は間合いの詰まりに気付きにくいですが、視野の端で下半身に詰められてるという情報は無意識に認識しています。そこで受は(相手は動いてないのに迫られてる嫌な感じ)を感じるのかもしれません。

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Fig.4 わざと相手に知覚しにくいエリア動きでフェイント

 

運動レベルでは、「足の重心を本気移動させる」、「骨盤位置だけ間合いを詰める」動作が、受けに「こいつ 本当に来る気だな」と判断させるフェイント(入身の身体操作部分)かもしれません。意識の作用は私達は分からないので検討していませんが、分かる範囲でできるだけの練習することが 最善を尽くすということです。

最悪思いつかないときは、筋トレしときましょう。
 

 

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備品を壊すといけないので百均に買いに行った我々のクマちゃん