大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録113 (2019/5/16)

2019/5/16 (木) 19:00-20:00 住吉道場 吉田先生

                   <まとめ >

 1. 隅落し用エンジン設計図

 

 「腹で貰って入るエンジン」組み立ての日です。

1. 腹に貰って結ぶ①:逆半身片手持二教押込
逆半身片手持ちを、掌を上にして鳩尾前で結ぶようにします(Fig.1.A)。結びをもっと分かりやすくするために、下に下ろします。この時手の甲側で押し下げてしまわないように、反対の手を自分の掌に触れると意識をコントロールしやすくなります(B)。受が無理しない程度に落とせたら、手が離れないように注意して二教押さえ込み(D)。

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Fig.1 方向は変わっても最後まで合気下げをし続けている

 

2. 腹に貰って結ぶ②:逆半身片手持前受身

上と同様に、片手持ちを腹に貰いますFig.2 B)。無理に臍まで下げる必要はありません。むしろ高級ホテルマンの「あちらでございます」が、意識の向きとしてちょうどでしょう(G)。腹に貰ったら螺旋に吊り上げ(C, D)、前受け身させます。これも手で押さずに(F)、ふつうにトコトコ歩く方が力積が大きくて自然です(E)。

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Fig.2 受の解剖学的限界の範囲内で安全に。

 

3. 腹に貰って結ぶ③:逆半身片手持隅落
上記と同様に吊り上げます。この体勢から受が自然に倒れられる方向であればどこでも投げられます。受の斜め後ろなら、隅落としになります。

腹前で結んでから吊り上げる過程で「受の真正面(受けにとって強い位置)を通過してしまう問題」があります。せっかく崩れた受が立ち直ってしまうポイントです。これは単純に結んだ手を先端部とした運動の軌跡上に存在します(Fig.3 A)。本当は取の肩~肘~結んだ手~受の肘~肩 の線が流しそうめんのように動く軌跡(B)ですから、特定の一点がいつ受の正面を通るか という問題はありません。

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 Fig.3 A☆が危ない地点 

 

それでも腹に貰ってから吊り上げまでは180°という長い道のりですから固くなったり体がばらけがちです。分かりやすさのため反対の手で片手持を軽く覆ってやってみます。腹前に貰った状態で肩から下(と受の存在)は忘れ、意識の中で消失(Fig.4 A)。それまでのことは放っておいて、腹だけを回します(B)。すると腕をガチガチに固めていない限り、自動的に「そうめんの軌跡」をたどります。間合いと角度によっては吊り上げするために腕を伸ばす場合と曲げる場合がありますが、そうめん運動にすると結果として自動的に最適ルートに腕が沿うので、考えなくてよいのです。

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 Fig.4 点線部分はなかったことにして、腹を回す。

吊り上げの身体操作は結果的にバケツ回しです。水が入ったバケツをこぼれないように8の字にぶん回すやつです(Fig.5)。やれば分かりますが、遠心力がすごいので腕は放っておくしかありません。腹で回すことになります。

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  Fig.5 練習にはバケツ(A)より剣(B)が安全

あとはすでに吊り上がっている相手を斜めに落とすだけですが、ここで一旦受をストンと下ろしてしまうと、安定した人の手を引っ張り下ろす状態になります(Fig.6A)。結んでいるのは手ですが、やはり体幹を動かす必要があります。手は相手の自由度を奪うためくらいの意味合いにして、腹を切るようにすると受は体幹への圧を避けるために反り返ります(B)。

f:id:fanon36:20190517113954p:plain Fig.6 剣でやると分かりやすい

 

4. 中で結ぶ:逆半身片手持隅落
ここまでの、「入る・腹で貰う・螺旋に返す・浮かせる」の手順を自分の中で済ませてやると、接した瞬間に手でなく体を背中から落ちる、腹に来る隅落としになるようです。

 

 5. エンジンコレクション

 上記「」内がいわゆるエンジンのひとつでしょう。いままで何種類かエンジンを作ってきました。精密に整備して、技によって適切なエンジンを搭載できればよいです。

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Fig.7 規制で姿を消した2ストロークエンジンは合気道家の中に生き続ける。