2019/5/9 (木) 19:00-20:00 住吉道場 吉田先生
1. 相手に入る
2.受をとるのはとても大事に
入る練習と、相手とエネルギーを回す日です。そろそろ稽古内容の言語化が難しくなってきました。今日の稽古などは 無理に説明すれば、 そこに無いはずのものの匂い もしくは非可聴域の音波による室温の変化。それらを感じるのは奇妙なことです。脳細胞間に新規のコネクション(記憶のタグ付け)ができたと説明できますが、放っておきましょう。
1. 入る①: 逆半身片手持 四方投・前受身
相手に入るのは必ずしも相手の真ん中に向かわなくてよいです。例えば結んだまま、何かを拾うようにぐっと落とします(稽古記録90参照)。「落とす」と言いますが、実際は「入る」です。結果的に下に移動したりします(Fig.1 A)。手刀がくっついた感覚のまま上に(B)。そのときの受の崩れ方によって四方投げや前受身をします(C)。慣れたらそこまでオーバーアクションにせず、さりげなく入ります。
Fig.1 Bも引っ張ったり荷揚げするのではなく「入る」
2.入る②: 両手持四方投
両手だと、下に落とそうとしてぶつかりがちです(FIg.2 A)。これも落とすでなく入ります(B)。そして上げるというより引っこ抜いて、相手の崩れ方によって四方投げや天地投げをします。これらの練習には受の協力が必要です。
Fig.2 受が下がるのは入られた結果
3. 貰う: 両手持
腕に気持ちを流します。相手に対してではなく、ただホースの蛇口全開状態です(Fig.3 A) (ホースは稽古記録79参照) 。そこに両手持してきた相手がくれた力を合成してベクトルは動きます(B)。ベクトルが下に向かうなら落として押さえ込み(C)、受がもちなおそうとする力がベクトルを上向きにするなら二教で返して押さえ込みなど(D)。大切なのは、初めから「押さえ込みをしよう」と決めてかからないことです。ホースの行く末とおりに。
Fig.3 蛇口人間 畳水浸し
4.閉鎖系に保存されるエネルギー
エネルギーは変換されることで便利に使ったりロスしたりします。回路を回しているとどうしてもロスは生まれますが、できるだけ小さくすることはできます。気というと特定物質名のように使われますが、エネルギーの種類にかかわらず「クリアランスが非常に低い回路」を指すのかもしれません。いずれにせよ、相手と自分(と地面)の間でエネルギーをやり取りすることでバンドするのが結びでしょう。電子をやり取りするイオン結合のように。
Fig.4 完全に内部喪失のない共振回路にパルス信号が入力されてたとき2つの物理量の間でエネルギーが交換されながら振動が維持される。Q=2π[ある瞬間に系に蓄えられているエネルギー] / [1周期の間に系から散逸するエネルギー]。Q値が十分大きい回路を構成する生体の状態を”気”と呼ぶ人もいるかもしれない。
5. 練習効率が良くなる受け方:両手持 上下(合気上げ下げ)
回路を回す練習には受は取と同等の重要性を持ちます。受は取の力を貰って(Fig.5 A)、取の力が緩んだときにすぐ元の姿勢に復帰する潜在的な弾性をため込みます(B) 。やられている側だから弱っているのではなく、いい受をしているとき受は強い姿勢であり外力によって容易に動かされません。取も1人で立っているときよりも強い姿勢になっています。一方ぶつかって固くなるとそこでエネルギーが散逸して、この受は弱い姿勢です。逆に受が自分からすすんで受身を取ろうとして逃げてしまうとエネルギーが減衰して循環できません(C)。受役を果たすとき、取役のときと同等の練習効果があることを知っておくと練習効率が上がります。
Fig.5 A:固くなって止めるのではなく、吸収圧縮することで平衡する受