2019/5/8 (水) 10:30-11:30 吹田道場 吉田先生
1. 更に性能が良いエンジン
「先にエンジン」の練習です(「エンジンをかけておく」については稽古記録100を参照)。
受の反応から臨機応変に対応していくのも良いですが、逆も便利であるという日です。逆というのは、取が先にシナリオを確定しておき、それに受が乗ってくることです。受が乗ってきてくれるくらいの影響力を、アクション開始前から与えておくことが、先生のおっしゃる「先にエンジンをかけておく」ことかと仮定します。
Fig.1 言葉の綾なのに
相手に合わせて対応していては、必ず相手よりこちらが後になります。相手の出方にかかわらず、おなじ捌き方で入ってみましょう。
1. 前も後ろも: 相半身片手取
交差持ちで持たせて、返して切り下ろすように後ろ受け身をさせます(Fig.2 B)。これを転換しながらやると前受け身させられます(C)。
Fig.2 斜めに返す気持ちを持つ
2. 右も左も①: 上段突四方投
今度は、内側に捌くと決めましょう。受の突きが左右どちらで来ても気にせずにです。左の突き(Fig.3 B)が来たら、内に斜め切りして四方投げ(C)。右で来たら(A) やはり内側に切り下ろして転換して四方投げ(D,E)。このように、先に入り方を決めてエンジンをかけておくと便利です。
Fig.3 こちらに巻き込むとき慌てずにすむ
3. 右も左も②:正面打入身投
正面打ちをどちらの手で打ってきても、内側転換の斜め切りで捌くことに決めます。左で打ってきたら通常通りの入身投げ(Fig.4 A)、右なら捌きながら転換して入身投げ(B)。「普通はこの技はこうするのにな…」と違和感を持つこともありますが、いろいろなやり方に体を慣らしておきます。
Fig.4 左右で技を分けない
4. 上も下も:突四方投
突きに対しても、真ん中で受けると決めたら中段でも上段でも同じように受けます(Fig.5)。突きを追って行って、上や中段でうけるのではありません。
Fig.5 どこであれ結んだら位置から技に入れる
5. 外から見えない身体操作
今日のひとつめの技「相半身片手取後ろ受け身」では、持たせた手を回内で返します。先月までの基本動作に沿えば、この運動は腹で腕の軸を回して行うでしょう。しかし今回お手本を示す先生はそれが明らかでありませんでした。私達の先生は細身で外表面から骨格の動きがかなり観察しやすいのですが、体軸を回すため骨盤をスライドするときの腸骨棘の突出(Fig.6 B)がほとんど現れず、軽くヒョイという感じです(C)。
Fig.6 実際に骨盤を回転させるのは股関節
6. エンジンとタイミングは違う
先にエンジンをかけておくというのは、早く動きはじめて先手を取るのではありません。エンジンをかけると、受けの動きからして変わるのだそうです。両手持ち合気下げで、取はほとんど手を動かしていないのに掴んだ瞬間に落とされるということはよく経験します。ところがエンジンを先にかけると、掴んで一息じっと動かないあとに、おもむろに落とされました(Fig.7)。その時取は完全にリラックスして、受はいつ結ばれたのかも分かりません。目標は宇宙の膨張のように遠ざかるばかりで、大変SF的です。
Fig.7 新しい感覚