大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録95 (2019/4/10)

2019/4/10 (水) 10:30-11:30  吹田道場 吉田先生

                   <まとめ >

 1.  流し続けていれば、相手の力と調和して動く

 

横の円の練習です。

 1. 今日の原型: お互いに押さえ込

押さえ込みされる力に応じて体幹が回転し(Fig.1 A,B)、手刀を水平な円を描くように返します(C)。続いて逆に受を押さえ込み(D) 受は同様に返します。このように交互に練習します。

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 Fig.1 協力しあって基礎練習

 

2.力を入れない円その1: 片手持押さえ込

相手が諸手で押してくる力(Fig.2 A下図⇒)に、逆らって返そうとしてもぶつかります(同図➡︎)。力を受け取って自然に転換します(B下図)。この時、腕は力を入れずに腹についた埃を払うような感じです(B上図) 。そうすると相手は浮いていますから、膝には手を添える程度で押さえ込みします(C)。

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 Fig.2 上の基礎練習まんまの動き


3. 力を入れない円その2:入身投

諸手持ちで内転換した状態(Fig.3.A)からさらに押されると、持たせた腕より先に体軸が反応して回転して末端はそれについてくる程度(B)。その流れで縦の円で返して入り身投げ(C)。相手の力が高い位置を目指している場合は、同様にその高さで顔をペロリと拭うように返して入り身投げできます(D, E)。自分が短刀を持っていると仮定すると、自分の腹や眼前を刀が通るとき、峰が自分の方を向いています。そのような手首の使い方です。

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 Fig.3 原動力は相手発(✳︎)


4. 座り呼吸法:水圧ホース腕

間近で対面するのは緊張するものです(Fig.4 A)。対立気分を避けるため取は相手に対して45°斜めに座ると、リラックスできます。そのかわり、相手がまっすぐ出してくる力に対しては弱くなります(B)。がホースに水を蛇口全開で流し続けるように、自分の中にもたれる前から意識を流し、持たれても変わらず流す。高水圧のホースは外力に対してより抵抗が少ない位置を目指して自然にのたうちます。体捌きです(C)。

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 Fig.4 立ってやると普段の技の体捌きそのもの


5. 力を入れない円+水圧ホース腕:袖持四方投

右袖を相手が左手で掴み、右正面打ちしてきます(Fig.5 A)。短刀を持つ代わりに拇指を切っ先方向を示すマーカーにします。切っ先を先頭にして丸く受けると相手のエリアに食い込んでくっつけます(B)。くっつけたら相手の力にホースのように反応します。具体的には小手を返して丸い手刀で横円を描きながら転換するなど(C)。逆の手を被せて四方投げ(D)。

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 Fig.5 くっついてますか?

 

6. 脚注✳︎: 相手の力によらない同時的発生

Fig.3のコメント「原動力は相手発」はたぶん正確ではありません。同一の場の力学では、パラメータ1とパラメータ2が相関するとき、パ1の値が決定すればパ2の値も決定しますが これはパ1がパ2の原因であるとは言えません。パ2によって、パ1もまた影響されるからです。パ1,2,...nには順序はなく、全てが同時に決定します。電磁場のようにです(Fig.6,7= 物理学酒場4磁場①補習Fig2,4再掲)。

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 Fig.6 静止する筒内を磁石球が落ちると、リングを反時計回りに流れる電流が発生 (青矢印) 。

 Fig.7 ① の作用でモデル➕は手前から奥へ移動。この➕の移動が、また電流です(電流②)

 

合気道で相手と合わせようとして、「相手の力ベクトルを感知→それによって自分が動く」では順序ができてしまっています。本来は自分の動きが相手に影響し、その結果の相手の動きに自分が反応する…2次関数ですから、順序から導かれた自分の動きでは、必ず間違います。

同時的発生はどうするのか?たとえば1人の体の中でそれは行われています。1つだけの関節が動いて見えても、じつはその動きによる重心の変化、それによって全身の関節の動きも影響される、というフィードバックの結果の動きです。内分泌機構、免疫機構しかり ホメオスタシスといいます。

 

空間のどこまでを自分と認識するかは、学習で設定されているので、相手まで含めて自己であると設定を変えると、ホメオスタシスの作用範囲は広がるのではないでしょうか (物理的でなく脳内の判断基準に限って)。(※合気道は科学ではなく、考え方のたとえです)