2019/3/16 (土) 18:30-20:30 住吉道場 吉田先生
1. 技の因数分解:結ぶ+小手の方向=相手のエリアに入る
今日は定礎の据え方をやります。合気道の基礎的な身体操作です。
1.結ぶ+小手の方向 =入り : 片袖持ち面打ち
逆半身から肩袖を取られ、続いて逆手の面打ちがくる攻撃です(Fig.1 A)。どちらも、取は袖を取られた側の手だけで受け止めますが、これだけでは弾かれてしまいます(B) 。
以前やったように、握った短刀の刃先(親指を立てた方向と同じ) が相手に向く形の小手(手首の関節)にすると、相手の空間に切り込むことができます(C)。このとき大切なのは、「相手と結んだ状態で」ということです。なので、①まず相手の攻撃を受けて結ぶ→②接触点を転がすように結び続けながら小手の形を調整→③入っていきます。
そうして相手が崩れたら開いて転換し前受け身をさせます。
Fig.1 基本の稽古を繰り返す。
2.面打ちをそのまま前受け身に
これを練習して入りの感触が分かったら、Fig.1のBとCを触れずに行います。相手の面打ちを空振りさせて即前受け身をさせるような、短い捌きになります(Fig.2)。基礎練習をせずにはじめからこの捌きだけしようとすると、結びも入りもないのでただ相手から逃げているようになってしまい、受は前受け身までしてくれません。シンプルな体捌きも分解すると1のような要素でできているのです。
Fig.2 表面上はシンプルな捌き
3. 入り身投げ
相半身正面打ちを受けて結んだところから開始します (Fig.3 A)。このままでは押し合いになってしまいます。その場で または受の右に少し入り、右腕(両手でもいい) を、いないいないばあするみたいに回外します(B) 。つまり親指は相手の顔を向いています。この過程でも結び目がほどけないように、脇を開けず肘を締めて相手の腕の上をコロコロころがすように (C)。片手でそうするだけで、受はすこし前下方に崩れます。ふつうの入身投げのように受の突きを下げたり襟を引いたりしなくてよいのです。その片手を入り身投げに返します(D) 。これもずっと結んだまま。最後まで片手だけで行います。
Fig.3 ゆっくりと結びながら。受の精度も大切です。
4.小手返し
上記と同じように始めます (Fig.4 A)。今度は転換とともに左手で落とします。はじめに接した右手がちゃんと相手の空間に入り込んでおれば(B) 、手を持ち替えても ちゃんと落ちます(C) 。小手返しで納めます。慣れたらFig.3のA、Bを触れずにおこない、転換とともに逆の左手で捌きます (Fig.5) 。これがよく見る最終的な小手返しの形です。
Fig.4 小手返しの裏で行われている要素を分解
Fig.5 よく見る完成形の正面打小手返
5.先生の助言
「このように手首の使い方で作用が全然違うので小手は大切です。」
「結びと小手を使って相手のエリアに入れることが最も基礎の部分です。基礎をとばして、いきなりこれより数段階も高度な練習をする道場が多いが、悪い言葉で言えばそれでは10年稽古しても上達しにくいです。基礎は練習して身に着ければよいだけの簡単なものです。」
6.合気上げ
今日おぼえた感覚を使って、合気上げをします。接する前に結んで入っておくことは必須です。自分の手が上がった状態を想像し (Fig.6 A) 、その状態に自分を一致させます(B) 。相手のことは気にしないように。「技をかけよう」と意図してはいけません(どうしても気になるなら、外人が『やれやれ』というときのゼスチャーをするとよいです)。触れずに結んだり入ったりする感覚は、触れる練習をたくさんした直後だとなんとなく分かります。同じように合気下げもやります。
Fig.6 合気上げのポイントは接する前。