2019/3/8(金) 18:20-20:30 吹田道場
1. 手刀は腕のみでなく、掌、指だけでも効く。
2.グレーゾーンでは考えずにただやる。
結びを分解し、それを技に発展させる稽古をしました。まず今日の基本の形をやります。
1. 基本その①:良い姿勢で結び、合気で落とす(上肢を回外→掌は上向)
足を三角(Tの形)、体の軸を保つ良い姿勢で立ちます (Fig.1 A) 。逆半身片手持で結んだまま90°転換すると同時に腕を回外(掌が上を向く) (B) 。足はちゃんと三角にします。この状態では取の手の甲の側が受の掌にくっついて離れません。なぜなら取の親指が受に向いている、つまり小太刀を握っていれば刃先が受をとらえている状況です (B下) 。受は手を離したり緩めたりすると危ないのでできません。このように、受が一瞬固まってしまう状態を、この道場では合気がかかると言います。腹で受の中心を落とします (C) 。この動作で結んだ感覚を覚えます。
Fig.1 1つずつ丁寧にやります
2. 基本その②:良い姿勢で結び、誘導で落とす(掌は立てる)
はじめは上記と同じ。90°転換するときに掌は立てたままです(Fig.2 A, B) 。これでは合気がかからず受はどんどん押してきます。それを受けて丸く転換していきます。そのプロセスでも足は三角の位置を保ちます。受は取を押せるが取の周囲を回るだけで間合いに入れません (C) 。誘導しながら下に落とします。素早く行うと、掴んだとたん床に落とされるように感じますよ。
Fig.2 最終的には滑らかに連続して行う。
3. 四方投(上肢を回内→掌は下向)
今度は相半身片手持から90°転換します(Fig.3 A) 。上肢は回内し親指は受の方を向く強い腕です(A下) 。足も三角になっていることを確認します。このとき受は崩れかけ、逆に取はとても強い姿勢です。受の脇に逆の腕をくぐらせて(B) 表四方投になります 。
Fig.3 これも1つずつ丁寧に
4. 呼吸法押さえ込み(掌は立てる)
片手両手持で結び、90°転換します(Fig.4 B) 。結んだまま掌を立てます (C) 。目の前を剣を振るように上げます(D) 。この「結び転換し手刀を立てて振り上げる」までは意識を変えます。考えない状態です。先生はこのプロセスを「グレーゾーン」と呼んでいました。浮いた受を押さえ込みます。この技では掌を立てますが、はじめからそんな形の手でいると受は握りにくいですから、誘うときはタランと柔らかい手の形にします(A) 。
Fig.4 Bまで来たら、あとは考えずに。
5. 座り呼吸法
坐位で両手首を上から押さえつけられると、掌を手刀に使うことはできません (Fig.5 A) 。そんなときは指だけでも小太刀にみたてて相手に向けます (B) 。まっすぐ相手の後方にむかって腕を伸ばします(C) 。指で小太刀を作ってから手を伸ばすまでがいわゆるグレーゾーンで、無心でやります。腕だけで力づくで動くときより、軽くなるのがよくわかります。
Fig.5 まず力づくでやってみてから指小太刀でやってみましょう。
6. 天地投
上記全ての要素を使って天地投をします。強く立ち(Fig.5 A)、両手を握られたら掌を立て (B) 、あとはグレーゾーンです(D) 。まるく手を挙げるのみ(C) 。蕎麦屋の出前持ちが物を肩にひょいと乗っける感じです。難しいタイプの天地投ができます。
Fig.5 総まとめの天地投
7. まとめ
軽く手を挙げるとよいことは頭では分かっていても難しいものです。強く握られると特に無理です。しかし順を追って練習すると最終的には「あ、こんな感じか。」と感じられて嬉しかったです。強く握られても関係ないということが、初めて少し分かりました。
それに至るには、今日分解して行った要素(構えた段階で充実しておく、軸を真っすぐし、いつでも足は三角、結んだ状態を緩めない、想像の小太刀や刃先を使う、グレーゾーンでは考えずに)をひとつずつ丁寧に積み重ねることです。
あと、先生は「グレーゾーン」の説明をするときに、「手を動かす動作にはもちろん時間がかかるが、意識を変化させるのは一瞬で。」と仰いました。最近練習している中心帰納基礎トレーニングと共通点がありますね。メトロノームを使う意識の切り替えを、電車の待ち時間や歩いているときなどにしています。少しずつ早くしていて、最近では3秒毎にしています。以前よりは意識を切り替えやすくなっています。
存在と非存在の行き来