大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

本 ”BUDO"1938年

以前は何か手がかりを探して色々読んだりしました。書かれた記録が早期に外部に出てきたのは意外と外国であったりします。正式に合気道を名乗るより前のものですね。

“Budo” Aikido Founder Morihei Ueshiba’s  Technical Manual 1938 

       f:id:fanon36:20181004030119p:plain

抽象的な観念論に終始していて、正直言って混乱したものです。いまは本を真面目に読んだりはしませんが、当時の読了後の無力感を分かち合いたいので、むかし訳したものを一部紹介します。

※  注意:一文一文ちゃんと読まないでください。疲れてしまいます。表面だけスラ~っと読み飛ばしてください。

 

 

出だし「道の教え」はこんなふうです;

”… 武道とは、真実・善・美へ到達する神秘の道です。それは無限や宇宙の本質、創造への究極の方法が反映された精神の道です。

無心に練習を重ねて道徳心が身に付くと、天と地の理に気づくことができます。このようなわざは、水火*の微妙な相互作用から生まれ、天と地と精神の取るべき王道を明らかにするのです。これらの身についたわざは、言霊=万物を操り調和させる原則、の偉大な機能をも発現させ、天と地と神と人とを統一させるのです。
この徳は光と熱を生じ、天と地と人の精神的な調和という神秘的な剣を作り出します、そして必要となれば調和の剣で武装をして天と地の理に沿って振舞うことによって虚偽や悪徳を薙ぎ続ければ、美しく無垢な世界への道がはっきりしてきます。そうして完全に覚醒すると、人は自由自在に、四季を通じて天地の全てを活用できる。世界が本当はどのような姿でどのように動くのか、という認識を正しなさい。武術を純粋さや善や美へ到達する手段に変えなさい。これらを体得しなさい。天地人をつなぐ調和の剣が顕れたとき、ひとは自由を得、純粋な無我に到達します。

(*訳者注:水は物質を表し火は精神を表す、またそれぞれ息と心を表す。これらの統一が宇宙を造ると盛平先生はお考えでした。)… ”

 

 

次にようやく「メソッド」にきたかと思うと、こうです:

”メソッド
 あなたとあなたの持ち物すべては偉大な目的に捧げられなければならない。武道を志す武人として、内も外も神の意志に従い、人を助けることが我々のつとめです。武道では、敵を導く、我々が(こうだったらいいな)と願う世界へ。ここで述べるメソッドの真の目的は、武人にどうやって心身を勇敢な精神を満たすことができるかを教えることー 生死の間で気を磨き、精神を鍛えなければならない。全身全霊でもってこれらのメソッドを一生懸命実践し、絶え間なく自分を鍛え、鍛え続けると、天地を溶け合わせ、訓練と悟りを統一できます。あなたの心身には武人の精神と、悟りの知恵と、深い鎮まりとが浸透しているべきだと自覚しなさい。”

 

そして、やっと技の項に入りますと、こんなです。まず間合い。(くれぐれも理解しようと思わないように。ざっと見てください。);

”① 間合い
体を気で満たす。半身を取る、足を60度に開いて。そして柔軟な合気姿勢で顔を相手に向ける。
適度な間合いとは、時や場所、地形によるし、なによりも真理に基づく。良い間合いとは良い精神の形を反映したものです。前足も後ろ足も60度に、この理由は練習すればはっきりわかってきます。
※わざのおわりにこの姿勢であるように。その時敵を真正面で見ているようならこれは大変不利なことです。”

 

懸案の入り身について、ワクワクして読んでみるとこんなでした:

”②入身
受:相手の左手首を右手でつかむ。
取:強さを左手の指先に集め、手の平を上向けに回しななめ前にスライドさせる、そして相手の右に深く入る。それと同時に後ろから来るかもしれない攻撃に気を配る。相手の右手首を右手で下から掴んで相手の手を離させる、そして顔面を打つ。スライドインして相手の襟をつかみ(または相手の腰を自分の体にぴったりと固定させて)、相手の腕をその頸に巻きつけた形に持って行くように右足を進ませる。そして倒す。この技の終わりの方で重要なのは、強さを右手の指先に集中して腕を内側に下ろしてくること。”

 

 

最後までこの調子でがっかりしたものです。今思うと無理からぬことでした。昭和13年フロイトは英国に亡命し、日本は徐州を占領し、学校では柔道と剣道が必須教科になったような年です。分かるような内容は出すわけがないのでした。

 

    f:id:fanon36:20181004024440p:plain