大阪での初めての公開稽古です。(中心帰納入門セミナー - 母体武道 合氣道 無元塾のホームページ!)
中心帰納は、中心帰納稽古1-4 および稽古記録53に記しているので繰り返しません。忘れていたことや、回を重ねて更にぐっときたポイントだけを記録しておきます。最後に 「ためになる成田先生語録」の付録つき!
【1】 おもちゃのように移動
良い立ち方 ~骨盤と脊椎が一体となり、骨盤を立てて股関節と膝でバランスする~ で 移動します 。人に押されたり引っ張られたりしてみて、その姿勢のままおもちゃのように移動できるように(Fig.1) 。目を閉じて行うと 感覚が冴えて面白いです。
Fig.1 軸がしっかりしていたら、作用点が中心線からずれると回転する
【2-1】中心帰納の復習
相半身で受と掌を合わせて感覚を覚える練習。何度かやっていますが、身に着くまでは機能ごとに分けた細かい段階を丁寧にやっていこうと思います。演劇のセリフと同じで気持ちを入れて繰り返せば自然と覚えます。
- 十分にやる気を出して(受がしっかりきてくれるように)
- 受としっかり合わせる
- 「自分は掴ませた手首を意識しているな」と確認し、「手の位置と圧力は維持する」と決心する。
- 腰を落としたり振ったりして、いい姿勢になる(足幅は狭めにすると楽)
- 結んだ手が上下にも前後にもずれていないことを感覚で確認
- 受の重心が浮いた、と信じる
- 腹を100%リラックスさせて、意識をその腹にヒュイっと戻す(中心帰納)。
- 「手のことは放っておく」と再確認する。
- 受の重心が崩れるのを感じ取ろうとし、体ですれ違う。
- この過程で引っかかるので、もう一度中心帰納。
- 「正面の受を気にしてるなー」と自覚して その度に中心帰納。
【2-2】片手持ち、天地投
片手持ち呼吸法:がっしりと掴ませてから意識をお腹に戻すだけで、受が崩れるのを体感する。
天地投:掴ませる直前に「唐突に」意識を腹に戻す。
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参加者は様々なバックグラウンドを持つ方々が13人でした。一般的に武道をやる人は我が強いと思いますが、そんな初対面の集まりにもかからわず大変よい雰囲気で行われました。先生は稽古中ずっと誰かと組んで実践して回っておられたので、感覚をインストールする良い機会でしょう。
3時間以上を休憩なしで一気に行ったので体力的に大変だったという初心者の方がいました。伝えたいことがありすぎるのだろうなーと感じました。
■ 直近のゴールを設定する
合気道において、さまざまな中心帰納的精神操作を提唱する人々はいます。そのなかで中心帰納がとくに勧められる理由は二点あります。
まずは、極端な言い方になりますが、中心帰納・初歩は手段であるという明確なスタンス。私達が求めているのはその結果です。例えば車の操縦方法を習うのは手段であって、得たい最終目的は車を動かしてある場所へ自分が移動するということです。中心帰納は優れた操縦方法の体得カリキュラムのようです。
世間によくあるのは、精神操作を最終目標にしてしまい、それに無限の意義を与えてしまうことです。合気道とは何なのかを知ることを目的としている者にとっては、それは物事を混乱させるので好ましくないのです。精神修養したい人など目的が違う人にはいいかもしれませんが。
二点目は中心帰納・初歩 には、近年のスポーツトレーニングのようにシステム化された技術習得法がある程度確立されていることです。ウェットな人間関係や情緒は必要ありません。
この程度の範囲の中心帰納を私は中心帰納・初歩と呼び、直近のゴールとしたいです。
■ この種の精神操作 個人差
人間の体のほとんどの部分は意識がコントロールも感知もできません。ただし「通訳」を挟めば別です。例えば、排尿などと違って、唾液を出すことは意識的には出せません。分泌細胞レベルを意識でコントロールするのは不可能なのです。しかし梅干しやレモンを思い浮かべると唾液が出ることは昔から知られています。また、薬物中毒などの治療として、イメージの力で脳内物質の分泌を促す方法も正式に存在します。つまり「通訳」とはイメージの力です。
ここでどんな通訳を使うかは個人差という要素を忘れては使えません。唾液をだすために梅干しを思い浮かべる方法にしても、梅干しを知らないエチオピア人にそれをやれといっても無理です。環境、生育歴、嗜好、感じ方の習慣など、個人差がとてつもなく大きいのです。だから実際に無意識支配の体を意識でコントロールすることができるようになった人がいても、彼の説明は彼にとってだけの通訳なのだということが前提です。そのままでは案外参考にならないのです。それどころか的外れで、あなたを何年も遠回りさせるかもしれません。
■ 精神操作 汎用性
中心帰納はその点かなり汎用性があります。もともと腹の下は感情の影響を受けやすい自律神経の神経叢が存在し、意識を集中しやすいところです。物理的にも重心がバランスする中心でもあります。多くの人にとってやりやすい精神操作法と思います。
そんな中心帰納といえども、精密さを極めようとすれば個人差は検討すべき要素です。そこで役に立つのは、稽古会では最終目標地点である「あの感触」が実際に体感できることです。「あの感触」に至ることを補正の目安として、自分なりに中心帰納を工夫して自分だけの良い通訳者をつくりたいと思います。
■ 中心帰納・中級
上記の中心帰納は初心者である私が入門編で達成したい目標としての中心帰納です。だから中心帰納・初歩というミドルネームを付けました。
中級以上はもちろんもっと広大で深いものがあるはずです。しかし私には分からないので、その時が来るまでは勝手な想像はせずに放っておこうと思います。ご興味のある方は白石先生に直接伺えば、いろいろ教えてくださるでしょう。
♥ ためになる成田先生語録 ♥
「一人稽古 だいじ。」
「気とは、出したりこちらから何かするものでなく、感じるもの」
「視界に入る= 認識 =気発」