大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。漫画、小説、修行の旅が混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。

稽古記録49 (2018/8/18) 大阪南→神戸式稽古会

  2018/8/18 (土)10:00-11:30大阪南道場、13:30-16:30 神戸式研究会

                   <まとめ>

合気と合気道の統合:
  掴ませながら大雑把に合気を入れる

 

今月からは、合気道に合気を応用することがテーマです。ダイナミックに動く合気道の中で、微妙な合気を精密に入れるのは困難でしたが、まずは精妙さに拘らず大雑把に使ってみることにします。今日は午前中にふつうの合気道道場で稽古がありました。片手取入身投をしてみましょう。

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   再掲:合気と合気道の使い分け(稽古記録22)

【1】実用向けの大雑把

◾️ 受に嫌がられていないか?

指先に力を通し、受の中心へ向けて受と力(気合い)を合わせるのは基本です。しかしそんな、いかにも攻撃的な形の手を目の前ににゅっと出されると、嫌な気分になりますね (Fig.1) 。物騒な雰囲気が漂っているし、解剖学的にも掴みにくい角度です。もちろん型稽古なので、どんな持ちにくい手の出し方をしても一応受は持つようにしてくれます。だから自分が受に嫌がられてることは案外気付きにくいです。

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 Fig.1 隙がなさ過ぎていて避けられる。

 

◾️ 持ちたくなるような手の出し方

合気道は自分に都合が良くなるような攻撃を受から誘い出すことで 先手を取ります。だから受が思わず掴みたくなるような手の形を「餌」と呼んだりします。まっすぐ突き出すより、自転車のハンドルやドアノブのようにやや横へ傾けると持ちやすいですね (Fig.2)。

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 Fig.2 A.自分の方を向いている抜き身の刀は掴みたくない。B.握り易いドアノブには手が出る。

 

指がガッと張った殺気立っている掌は、握りたくない気分にさせます。やんわりと優しい手の形で誘惑します (Fig.3)。

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Fig.3 ホテルマンの「どうぞこちらへ」みたいなウェルカム感溢れる手

 

◾️ 食いついてきたら強い形に変形

餌に受が食いついて来ました。このまま掴ませると取は受にやられます。そこで、掴ませる寸前に、攻撃の形へ変形させます。例えば、手をパッと張って、中指の先を受に向けるのです。受にとって嫌な形ですが、もう握る動作に入っているので中断できない、というタイミングです。

 

◾️ この変形が合気の刺激

合気をかけるとは、「なんらかの精神的・肉体的刺激を、相手が自覚できないレベルで入力すること」です。この持たせる手の変形は、合気入力というには大きすぎる動作です。しかし受がまさに取の手を握るという大きな動作をしているさなかであるため、大雑把な合気でも気づかれにくいです。

 

◾️ 合気をかけるのは技の為

このはじめの結びタイミング動作には、手を張る、手を受の掌に放り込む、パシンと合わせに行く、摩擦抵抗がかかり皮膚がずれる、など色々あります。合気をかけるだけならどれでもいいですが、今回は合気の後に合気道技へとスムーズに繋げたいわけです。そういう観点では、「手を張って指先を受けに向ける形へ瞬時に変形」が1番便利でした。

 

【2】精密さのための研究

◾️ 効果を最大にするには

午後、合気に特化した研究をしている神戸の会に参加しました。偶然、手を張って入れるタイプの合気が紹介されていました。

 

◾️ 脱力を利用

午前の体育会系稽古では、私は手ばかりを意識しており、腕などはふつうに硬派な「折れない手」でした。研究会では、腕部分はむしろ脱力している方が、受が抵抗できないような繋がり方になることが分かりました。

 

◾️ 心理的刺激も利用

取の精神状態(交感神経と副交感神経のバランス)を切り替えることで、受に精神的な刺激を入れられます。例えば急に受から目をそらし瞳孔を開いて視軸をずらす。背骨はすっと伸びる。つまり受の後方に、敵を見つけた時の生理的反応(交感神経優位。戦闘態勢。)を作ります。受は目の前の同種族が出す「危険信号」に反応して緊張し、固くなります。これが精神的刺激の1つです。

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 Fig.4 A.リラックス。近くの相手を見ているので輻輳(黒目どうしの角度)は寄っている。 B.緊張。黒目は真中に来て、瞳孔が開き、背筋が伸びる。敵を見つけたときの生理的反応。

 

 

<Debreafing>

合気道道場では、大東流のようにちゃんと初めから中心を捉えるような掴ませ方をするには?という動機から、柔→硬のスイッチを工夫していました。

 

その後に研究会に行くと、同じことを合気方面で説明されていました。

 

合気道と合気、出発点の異なるアプローチが最終的には同じ動きになっていたことは興味深いです。ほんらい切り離せるものではないので当たり前かもしれません。「どちらから登っても、登れば登るほど見える風景は同じになる」というわけです。しかし他人に再現性もって説明するには、その地図には道が詳しくたくさん描いてある方がいいですね。達人になるまでは、両者を分けて考えることが大変重要です。