大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録48 番外編 大東流合気柔術

今日は大東流合気柔術を体験させていただく機会がありました。 私がやってきた合気道と比べて、異なっていて新しいと感じた点と、「同じだがうまく説明するなあ!」と目から鱗だった点がたくさんありました。

では面白かった稽古内容の一部をご紹介します。

 

 ※ 内容は私の理解であるため、間違って覚えたり誤解していることがあります。詳しくは本場をお尋ねください。

 

■  半身の立ち位置を常に調整する3つのポイント

(1) 結び目(受が掴んだ部分)が相手と自分との間にあるように。

受が左手で逆半身片手取をしているとき、結び目が中心からずれていると受は自由な右手で拳を繰り出してきます (Fig.1 A)。防御のために結び目をお互いの間に置きたいのですが、結び目を中心に移動させようと腕で引っ張ってもうまくいきません (B)。そのかわりに、受と結び目を通る直線上 (C点線②) に自分の体を移動させると簡単です。

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 Fig.1 結び目がずれていることに気づいたら、結び目 (腕) ではなく体の位置 (足) を動かす。

 

(2) 結び目が相手と沿うように。

合気道でも、「取の手の甲が受の腕にピッタリ沿うように」とよく言います (Fig.2 A) 。浮いた手の甲を沿わせるときに手首を伸展してくっつけるのではなく(B)、「肘から先はまっすぐな剣」だというイメージで前腕の位置を調整します (C)。

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 Fig.2 手首を曲げられなければ足を遣って移動 (a→c) するしかない。

 

(3) 最も軽い力で効く位置を探る

技が効かないときは更に力を入れるのではなく、そのままの力で効くポジションを探りましょう。足を移動させたり膝を落としたり。そこが正しい半身の立ち位置です。

 

 

■ 正面打を受ける~刃に隠れる

受が打ってきた腕を受けようとすると、お互いの腕がクロスになります。受に向くべき取の手先は横方向を向いてしまいます(Fig.3 A) 。

逆に「取が先に仕掛けた攻撃に反応して正面打を繰り出した」という順であればどうでしょう。取の手先はすでに受の中心を向き (B)、体は腕の下へ潜ります。自分の刃の下へ隠れる位置です(C) 。その結果、中心を捉え、頭を防御することができます。

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 Fig.3 防御でなく攻撃

 

 

■ 三カ条~縦の動き

合気道でいう逆半身片手持三教のような技です。相手を浮かせて腕の下をくぐりますが、危ないからといって距離が離れると受は全く自由なままです。近い距離で、かつ殴られない位置を取りましょう。

まず相手を浮かせるときに指先を相手に捻じ込みがちですが (Fig.4A) 、手刀は垂直に立てて振り上げます。そうすると受は後ろに反る逃げ方ができず、肩が上がります (B) 。

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 Fig.4 Aでは結び目が外側。両者の真ん中へくるように移動する。

 

右拳を避ける位置へ足を遣って移動します。手刀を立てたままであれば受は更に浮きますからその下を潜ります。その真っすぐな手刀の真横へ頭を滑り込ませます。つまりバンザイした腕の下をくぐるのではなく (Fig.5 A)、前腕の横をアタマがすり抜けるかたちです (B)。

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 Fig.5 こめかみの髪をなでつけるように、または暖簾をひょいとかきわけるように。

 

 三教を決めるとき、手を横に寝かしてしまいがちですが (Fig.6 左)、手先を縦にして中心に捻じ込みます(右) 。

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 Fig.6 剣でいうと、水平なで斬りではなく、突きです。

 

 

■ 四方投げ~受を剣のように

逆半身片手持からの四方投げです。はじめの捌きは合気道では親指側から返すことが多いですが、ここでも手首を固定して立て、剣の振り上げのように縦にします。すると受の右肩が浮きます。受の右拳を避ける位置へ足を運びます。

次に受を崩すとき、合気道では受の腕から背中まで筋肉が伸びきることで自由を奪います(Fig.7 A) 。それとは異なりここでは、受の腕を剣に見立てて、水平切りします。取の腕はのびのびと受中心に向かって伸ばします。逆に受の肘は深く曲がって中心近くに固定されます (B) 。転換し四方投げになります。

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  Fig.7 Aは取の中心へ巻き込む。Bは受の中心へ畳み込む。

 

◾️ 呼吸投~受の中心をあえて固定する

合気道でいう片手取呼吸投です。これも手刀を立てて受を浮かせてから入ります。合気道では大きく円を描くように柔らかく落としますが、ここでは受を受自身の重心近くにパタンパタンと畳む気持ちで。受は重心がずれないだけにかえって居着いてしまいます。その位置で四肢の方向がねじれるため、取に寄りかかったりしがみつきます。

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 Fig.8 受の重心はどこか、確かめながらゆっくり稽古

 

 

  <Debreafing>

 柔術をしたことがないのでものすごく面白かったです。合気道大東流柔術から派生したため共通点があるだけに、違いも引き立ちます。「合気道って何なのかな?」という疑問に答えるヒントになりそうです。大東流もバリエーションが多いそうですが、私が体験させていただいた道場はとくに分析的側面が強いと聞きました。そのとおり合理的で、なるほど!の連続でした。合気道はあまり説明がないので、悶々と悩む人をしばしば見受けます。そんな人はぜひ一度行かれるといいと思いますよ。2,500円で2時間体験させてもらえます。私が気づいた事を箇条書きにします;

 

今まで縦方向運動という意識が欠けていたこと

例えば私は受を押す癖があります。そのため、受は後ずさったり尻餅をついてしまうことがありました。その修正方法を今回学びました。結んだ瞬間にいきなり手先を相手方向に入れずに、剣の素振りのように真正面で真っすぐ上げる。受はわずかに浮きます。こうすることでまず受を捉えます。その次に振り下ろすと同時に技につなげると、受は下方向へ捉えることができ、突き飛ばさずに済みます。

 

円運動でなく直線運動

三教にしろ四方投げにしろ合気道では球を描くように受を振ります。直線的に差す動きは今まであまり意識していませんでした。木剣の八方切りで、「突き」を挟むスタイルがありますが、あの捻りながらの突きはすごく必要なのだと分かりました。剣の突きだとイメージすると、徒手で突くときに腕だけでなく体幹の捻じり (半身) を伴う癖をつけられるなーと思いました。

 

取は伸び、受は縮む

合気道では自分の中心に受を巻き込んでいくことを主に習いました。ここで、受の中心へ受を折り畳んでコネコネと縮めていきます。合気道でも「受の中心を取る」という言い方はありますが、それをさらに徹底した感じでした。