大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

稽古記録40番外編: 東京本部道場・興隆会 (2018/7/7)

2018/7/7 (土) 6:30~

 東京本部道場の稽古に参加したついでに、興隆会に参加する機会がありました。

【1】本部稽古

早朝に道主の稽古があります。ベーシックな技だけを稽古しますが、組んだ相手から目から鱗がおちるような有用なアドバイスがありましたので記録します。

■ 呼吸法で役に立つイメージ

剣を抜いて切り降ろすイメージと同じことではありますが、バリエーションとして教えてもらったのが、『相手の力(気持ち) を貰って返す』イメージです。※正誤:Fig1B,Cの呼と吸は逆です。

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  Fig.1 どちらにしても自分の真ん前で行う。 

 

 ■ 座り呼吸法

尽きない呼吸法です。稽古会でもかなり練習してきて改善してきてはいますが、頭で理解していても実際できていない点を指摘してもうことは助かります。正統派の「両手を螺旋の運動で」相手に入れていくやり方ですが、前腕が回外できる範囲は限られているため途中から回転が止まりつき上げるだけになってしまうことがあります (Fig2 B)。そんな時は上腕~肩を使っていない可能性があります。「脇を閉めろ」とよく言われますが、ただ閉めるよりもっと閉める必要があります。詳しく言うとただ閉めるのではなく、上腕を回外し絞り込むようにします(C)。目的は螺旋運動だからです。 私は脇を閉めているつもりでしたが、このようなわけで不十分であったことが分かりました。

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   Fig.2 上腕をぎゅーっと体にくっつけるのではない

 

 【2】脱力の工夫

興隆会での稽古です。力を抜けなくて困ることはあります。抜いているつもりでも肘から先だけで肩と肩甲骨はがっちり固まってしまっているのです。また完全に脱力できても、急に掴まれるとどうしても反射的に力が入ってしまいます。解消法を2つ。

<その1>一旦わざと力をいれてからストンと脱力すると完全脱力ができます。それを利用します。持たれる直前にわざとギューッと力をいれ (Fig3A1)、その後フッと脱力するタイミングで掴まれるようにするのです (A2)。

<その2>持たれる部分を張った状態で掴ませる。すると相手は思い切り力を込めて掴むことができます (B1)。そこで急に完全脱力すると受は掴みにくくなり一瞬不安定になった隙に技をかけます(B2)。ポイントは脱力後すかさず技を行うことです。

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   Fig.3 分かっちゃいるけどできない。皆いろいろ工夫しています。

 

 【3】面白い天地投

「鋏を開くように」という説明は初めて聞きました。いつも通りまずは相手の中心からずれます (Fig4A)。地の手は天の手より一瞬早く、引かないように、真下に落とします(B)。天の手は相手の全面を擦りあげます。この天地の動きをあまり左右に開かず自分の前面でギギ…と上下にずらしていくさまが「鋏のようなイメージで」というわけです (C)。天の手の肘が相手の胸くらいの高さになったら、そこではじめて相手を崩し始めます (D)。受けてみると、全面で掛けられる四方投げ、という感じで、珍しい感触でした。

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   Fig.4 腕の動きが珍しい天地投

 

【4】先に動く・わざと持たせる

よく聞くフレーズです。ここでの説明は「取が先に攻撃を仕掛けたので受はそれを阻止するために手を出さざるとえない」というイメージです (Fig.5)。実際合気会では受から打ったりしないので、あくまでイメージです。そのように誘った攻撃は予測がつくため避けられるというわけです。そのようにいつも相手の動きを予測しやすく誘って先行して動くことができれば、実際には接触していないのに受が取についてくるような倒し方ができるわけです。

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   Fig5 一見ヤラセに見えるが受け手は真剣です

 

 

  <Debreafing>

合気道は師範によってさまざまで、ときに別の武道にみえるものもあります。ですから「なにがスタンダードか?」を知ることは大切です。そのうえで、それぞれの道場のやり方を稽古すれば理解が深まります。その意味で、道主のきちんとした技の見取り稽古は良い経験です。合気道本部道場 | 公益財団法人合気会

 

本部稽古は体力的には大変きついです。3コマくらいが連続参加の限界ですから、午後は合気道興隆会  |に参加しました。交流を目的とした、会員獲得をめざさない稽古会から始まった自主的な会というわけで、とても自由な稽古体勢でした。正統派の本部稽古と、自由な稽古会という両極端を同日に経験できて面白かったです。時々動画でお見かけする上田和道先生の指導をうける事ができ、幸運でした。ちょっと変わった技だなあと思っていましたが、じつは基本に忠実なやり方なのだと分かりました。自主稽古会で合宿や演武会ができるまでになった運営手腕は見習わなくてはなりません。「とにかく面白く」が方針だそうです。そのせいか、高段者が多数おられるのに上下関係の緩い(というか無い)雰囲気でした。ビジターOKなので、機会があれば参加してみることをお勧めします。お稽古動画も多数upされています。

  <便利情報>

● 本部道場に参加するときの宿泊

早朝稽古に出るには前日から道場近辺に宿泊する必要があります。本部にも500円で泊まれるそうですがお勧めできません。今回利用した素泊まり5,000円の東京ビジネスホテルは、古いがこざっぱりしており、本当に大きな大浴場があるのでまた使いたい所です。本部道場までは徒歩10分程度です。

 

その他、地元の人に進められたのは東京新宿天然温泉テルマー湯です。ここも便利そうです。本部道場までは徒歩20分くらいだと思います。