2018/3/26 (月)18:30-20:00 地下道場 <参加者> 2名 <負傷者>なし
早い開花
今回は、「攻撃を受けるときの手」練習です。その前に圧センサーの復習を2つ。
【1】 脚で推手?
前回練習した推手を膝でやってみます。合気道にはキックはないし、袴に隠れているので下半身は油断しがちです。しかしセンサーはどこにでもあります。全身で状況を察知してみる練習です (Fig.1) 。
Fig.1 百々目鬼(鳥山石燕)
【2】肘を使えるようにする練習
■ 片腕で相手の両手を制する
これも前回の復習です。折れない手は伸び続ける手とも表現できます (稽古記録21、25参照) 。しかし、最近思うのは技の中では指先まで伸ばすのではなく、肘まで (近位筋) 。その先は脱力です (Fig.2-0) 。これは鞭のハンドルと革紐部分の関係です。
その肘で相手の右拳に触れ (1)、次に来る左拳を肘から先で制し(2)、受の右前腕が左上腕と取の肘で挟まれ固定されるくらい深くクロスさせます(3) 。十字投げの形です。
Fig.2 片手で十字きめ
■ 肘で打ちあう
肘の内側と外側がセンサーになります。いろいろなスピードや力の大きさで打ちあってみてください (Fig.3 左図) 。次に攻撃の拳を肘で素早く触りにいきます (右図) 。このとき受の拳を弾いたり押し戻したりせず、触れるだけでいいです。タオル手 (稽古記録27) を肘でやっているだけです。
Fig.3 鈍い肘のセンサーを鍛える練習
【3】攻撃を受ける手の練習
■ 3-1. 上肢の外旋運動
上腕長軸を中心にして肩関節からクルリと腕を回す運動を"外旋"といいます (Fig.4 A) 。両手で(B)、次に肘を曲げて (C) 。最終的には肩関節だけでなく肘関節も回旋します。素早くやります。
Fig.4 Cになると加速がかかる
■ 3-2. 強い外旋運動
上記Cの動きを片手だけでやります。「なんでやねん」の動きです。背刀が鞭のように相手に当たります (Fig.5) 。鞭の動きですから勢いをつけずに高速が出るし、関節可動域の限界点でピタリと止まります。振り切らずに空中で止まるという点がポイントです (後述) 。
Fig.5 上手く当たるとドシンという重い音がする
■ 3-3. 正面打を受ける
これで正面打を受けてみましょう。振り下ろしの軌道に、突然折れない手を出現させるわけですが、真っすぐ最短距離に手を出してはぶつかって「ゴツン」となります。外旋を使うといきなりハイスピードで動かすことができ、しかも振り切らずに空中でピタリと停止するので、ぶつからずに軽く触れることができます (Fig.6) 。練習での注意点は、① 指をプラプラしていると払ってしまうので手指は揃えて芯を入れる ② 鞭のように伸びて目標の場所に ③ ここでは背刀でなく、面積の広い手背で接する。
Fig.6 慌ててないのに素早い受け方
【4】外旋の動き その他
肩や肘を回すことで、それより遠位側を回旋してきました。逆に手首の位置を固定して上肢外旋しようとしてみましょう。肘の方が動き、内側に絞り込まれます (Fig.7 A) 。肘を素早く動かせて、且つピタリと停止することができます。
外旋は内から外へ向かう動きですが、逆に受の突を外から触る方向に使うこともできます。右腕を外回りに前方へ伸ばすときに外旋すれば手背が相手の方を向いて触れられます (Fig.7 B) 。
Fig.7 応用編
<Debreafing>
入門して 最初にやるような基本技「正面打一教」に悩んでいる人は多いと思います。一見地味に見える今回の身体練習は、大切な基礎体力作りです。
昨日 本を読んでいて、こういう練習の大切さを上手に言い表している文章を見つけました。コピーライターの谷山雅計さんです。以下要約:
〜 プロ野球選手は難しい球を打つコツを知っている。しかし素人がそのコツを身につけて同じような動きができるようになっても、絶対に打てない。なぜならテクニック以前に筋力や瞬発力や体幹の力といった基本的な能力が全然足りてないから。要するに基本的な力が足りなければ技術やコツは生きてこない。〜
(「広告コピーってこう書くんだ!相談室」株式会社宣伝会議 )
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