大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。漫画、小説、修行の旅が混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。

仙腸関節の機能(前編):弛みと中心帰納

《続き》

前々回:「病の声=仙腸関節のヒント

前回「『仙腸関節を意識する』ときの意識

 

一日中 何をするにも仙腸関節を意識していると、この関節の面白い機能が分かってきましたよ。

仙腸関節の機能① 弛め】

はじめに分かったことは、仙腸関節を弛(ゆる)めると体全体がガクンと弛むことです。ストレッチ運動で体を最大に伸ばした状態で、仙腸関節を意識してここを弛めます。すると全身がフッと弛み、これ以上伸びなかったはずの体がもう1段階伸びるのです。「ここは体を弛めるスイッチなのか~」と思いました。ヨガのときに各姿勢でこれを使っては、体全体が伸びることを確認して面白かったです。しかし仙腸関節の機能はこれだけではありませんでした。

 【仙腸関節の機能② 中心帰納をする場所】

中心帰納をするとき、どこに帰納するか?今までは漫然と「自分の体の中」をボンヤリ想定していました。それを仙腸関節に向かって帰納してみると、「体内に意識を戻す」ことがしやすくなることが分かりました。体内の特定の一点であれば、どこでも同じかもしれませんが、私は仙腸関節に戻すのがやりやすいです。

 

この時点では、(今まで動かさずに硬くなっていた仙腸関節を、初めて弛めて動かすから色々面白いというだけで、別にここが体の中心というわけではないだろう) と思っていました。

 

仙腸関節の機能③ 球形の梃子】

■ 役に立つ文章

さらなる仙腸関節の機能を考える上で、無元塾の白石太志先生にいただいたアドバイスがとても参考になりました。頂いたその文章は私と同じレベルで迷っている他の合気道練習者にとっても役に立つはずです。1人で使うのは勿体ないので、許可を得て一部を紹介します。内容をポイント別に区切って番号をつけ転載しています。役立て方は読む人それぞれですが、私の場合はどのように理解の助けとなったか、次の項から紹介します。

 以下使用する文章(引用符内原文)

① ”僕自身も最近ではよく仙骨の話をします。…構造的に下からの重みの反力?と上からの重みを集約する場所になっているのではないかと…”

②”…なので、手で何かを動かす時も、始動はその手ではなく、その仙骨の当たりが
先に動きます。むしろそこを丸く球のイメージで動かすのです。そこは球の中心なので、ほんとに微細な動きで、手には大きく伝わるのです。重いものを動かすのにふつうは軽く持ち上がるように梃を利用しますが、小さい動きで大きく動かすために、逆の作用として梃を利用しているということです。”


③”そこには大きな圧力が加わるのですが、構造上の集約点ですし、中心に位置するのでこちらは重さを感じません。”

 

■ 中心とは錘

                  モビール

 中心といえば臍のあたりなど、空間的な中心を思い描いていました。文章①を読んでみて、中心と言う概念をもっと動的に捉えるべきでないかと考えはじめました。精密機械の動きを安定されるスタビライザーのような、体を安定させる錘にあたるのが「体の中心」(Fig.1) だとすると、「中心」はその時の姿勢や力によって重さや方向が変化する動的なものでなければいけません。

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 Fig.1 天体望遠鏡のスタビライザー 体のスタビライザー

 

このスタビライザーや、複雑なモビールの中心錘が空間的中心とは限らないように、合気道的中心も解剖学的中心からずれていても構わないのです (Fig.2)。そして、常にユラユラしています。固定されてユラユラできないモビールは、外力が加わると倒れてしまいます。人間の中心も固定したり、力をいれたりしてはいけないという道理です。例えば下腹が中心だという人は、ここを軽く空虚にして、脱力した方が体が安定するのです。

f:id:fanon36:20180408123012p:plain Fig.2 複雑なモビール

 

■ 中心とは梃子

さらに、中心から動くということを見直してみます。稽古中に「体の中心で動きなさい」と言われると「手とか足という末端だけでなく体幹から動くということだな」というふうに捉えていました。釣りで言うと、腰を落として体全体で竿を引く感じです(Fig.3図A) 。一方、文章②にあるように、中心に梃子があると想定してみます。するとむしろ末端の片方を押し出し、もう片方を引くかたちになり、ばねの効いた強い力を引き出すことができます (図B)。 

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      Fig.3 梃子にすると、反対方向の動きが出現する

 

 

この梃子という概念をもっと検討してみましょう。次回「仙腸関節の機能(後編):球形の梃子」で、更に詳しく紹介します。

 

 《続く》