大阪合気道自主稽古会

合気道経験者のための不定期な稽古会です。忙しくて道場に通えないが時々稽古したくなる人向け。流派は問いません。

稽古記録24 (2018/2/5)

 2018/2/5(月)18:30-20:00 地下道場  <参加者> 2名  <負傷者>なし

前回に引き続き、袖引き落とし。その分析です。前半は角度、後半は時間です。

 【1】合気道的な力の伝達その1:角度

【1-1】 体幹に伝える為の角度を作る

腕を前に出してる受の腕を、前方に引くと受はトコトコと前に歩くだけです。下に落としても肩を中心に腕が回るだけです (Fig.1 左) 。体が落ちるためには斜め下の方向ですから、その角度α°を作るために下に少し落とします (右①)。その次に長軸方向へまっすぐ落とせば、体がついてきます(右②) 。

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 Fig.1 下方向の力は落とすためでなく、体幹につながる角度を作るため

構えている受を腕で落とすときは、前腕の長軸方向でなく上腕の長軸方向です (Fig.2) 。 

f:id:fanon36:20180206145630p:plain  Fig.2 体幹につながってるのは上腕の方

【1-2】 落としたあと

ここまで落とせば受は反撃しにくいです。この状態をキープしたり次につなげるために転換していきます。そのとき、結んだ位置の高さは変えないことが大切です。自分の手が体から離れていると知らず知らずにフワフワと上下してしまうので、手は体の近くに引き寄せておきます (Fig.3) 。

 

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 Fig.3 脇を締めるのは低さを維持するため

そうするうちに堪りかねた受が起き上がろうとするところを返すのが入身投です。実際は受が起き上がらろうとしないこともありますが、それでも問題ないのです。ここまで落ちていれば後頚部に手刀を落とすなり膝を入れるなりできるからです (Fig.4) 。

f:id:fanon36:20180206145746p:plain  Fig.4 稽古でやってはいけません。鼻が折れたりします。

 

【1-3】 落としたところで切り返す

 また落としたところで受が抵抗して腰を引いてしまったときは、急に180°切り返します。受は重心を置いている後方へ切り返されるので尻餅をついてひっくり返ります (Fig.5) 。

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  Fig.5 一瞬で直線的に切り返す

 

何それ?と思うでしょう。これは実は合気道的な動きです。逆手を添えれば小手返ですし、高い位置でやれば呼吸投や隅落しの切り返しになりますね (Fig.6) 。

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 Fig.6 あちこちで使っています。

 

【2】 合気道的な力の伝達その1:時間

【2-1】体との時間差

いい角度で、いいスピードで引き落としても筋力の関係で落ちないこともあります。ここで合気を使いたくなるかもしれませんが、合気道として何ができるか考えてみましょう。「手だけでなく体で動く」とよく言いますが、体と腕を同時に動かしても効果はありません。大切なのは「時間差」です。

 

結んだ点はそのままに、体中心を先に後ろへやります (Fig.7①) 。次に上半身がついてきます (②) 。最後に腕が伸びて受を引き寄せます (③) 。①~②の段階で「体重x速さ」の運動量が発生し、その力が③というじっくりした時間をかけて伝われば、「力x時間=力積」が最終的に受に働きます。時間をかけることが大切です。力をぐーっと溜めて末梢に波のように時間をかけて伝えていく感じです。大きな動きになりますから、結んだ点 (★) が動かないように気を付けましょう。ここをはじめから引いてしまうとばれます。むしろ浮いた手で少し浮かせるくらいです。

f:id:fanon36:20180206145913p:plain  Fig.7 波のように動きが伝わっていく

 

この時間差で波動のような力を発生させる練習が、舟漕ぎ運動です。腰を引いてから浮かんだ手をストンと落とします。次に腰を前に出してから手を斜め下にストンと振り落とします (Fig.8) 。

f:id:fanon36:20180206145942p:plain  Fig.8 舟漕ぎを丁寧に。

舟漕ぎ後半で手を出すときは、ペアで稽古するとわかりますが受を振り落とす動きです。前方に押しだすとぶつかります。ただ真下に落とすのも引っかかりますが、体が前方に出ながら手を下に落とすと、結果的に斜め下のなるのでOKです (Fig.9) 。

f:id:fanon36:20180206150018p:plain  Fig.9 前方+下方=斜め下 (速度の合成)

 

【2-2】体の移動のしかた

体の中心を後ろへ引くといいました。背中を丸めたりお尻を出したりするのではありません。股関節で動きます。上半身は前かがみにはなりません (Fig.10) 。股関節が硬いとこの動きはできませんよ。ヨガをしましょう。

f:id:fanon36:20180206150039p:plain Fig.10 股関節で動くのは練習が必要。

 

この動きをつかって引き落としてみましょう。掴んだ手はそのままそっとしておき、後ろに引いた右足に、股関節を曲げることで乗ります (Fig.11①) 。上半身はそのままなので手は動きません。左足を寄せ (②)、上半身を骨盤の上に戻し (③)、腕が自然に引き寄せられることでやっと受に力が伝わり始めたらジンワリと引き落とします (④) 。

肘を曲げたり力を入れたりせずに放っておきます。技としてはこの後に受が倒れる道をあけるように左足を引いて転換します。

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Fig.11 十分に時間を作っている。最終的にはさっとできるように。

 

【2-3】押し出しも時間差で

 接触→体を寄せる (体重X速度を作っている。Fig.12中) →バネのようにゆっくりと(接触時間を稼いでいる) 押し出す (左) 。

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Fig.12  女の子同士で「もう~〇〇ちゃんたら、ヤダ~」とする時のやつです。

 

 

 

    <Debreafing>

 力の作用において、「時間」という要素はとても大切です。一般的な道場ではあまり口うるさく言われません。しかし「優しく触る」とか「柔らかく触る」とか「愛しているかのように触る」とかいうふうな言語表現はしばしばなされます。これらで表現されることは結局「接触時間を稼げ」ということではないかという話をしました。

フワフワで接触面積が大きいものは、接触時間が長くなるので強いわけです (Fig.13) 。

 f:id:fanon36:20180206150202p:plain Fig.13 これが硬いとドンという体当たりになり効果減。

 2-2の 股関節で動く動き方は、タイ式ヨガみたいだと教えてくれた人がいます。私は知りませんが、たしかに武道というよりダンスっぽい独特の動きです。足をすぐ引き寄せると、合気道らしくなります。

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 @まだらや (北区天神橋2-2-20):アーケードや1階の喧騒から隔絶された別世界が2階。テーブルも大きく物を書いたり実験したりには最適です。