箱尾地方の風習 (中)
冬至には、その日までにきちんと掃除した屋内で、数多い器に準備したご馳走をお供えする。翌日のための準備もあるのでこの日はどの家も忙しく、お客は来ない。お供え物には手をつけてはいけない。その日の夕飯は遅い時間に にしんそばですませることに決まっている。冬至だからお風呂に浸かってしっかり温まる。そして翌日が籠る日だ。電気を使わない日だ。この日は台所も火を落とし、冬至のお供えを下げて食べる。
とにかく山間の寒さをしのぐことか重大事で、普段はあまり使わない石油のストーブや火鉢が用意される。台所が使えないといっても熱いお茶は欲しいので、すぐに湯が沸かせられるこれらは便利だ。火鉢の火というのは思いのほか強い。この日は人が集まる。寄り集まることも部屋を暖かくする。
電気が使えないと、午後の4時半ともなると暗さのために実のあることは殆どできなくなります。パソコンが使えない。テレビも見られない。となると薄闇の中で人は暇です。人相手に暇をつぶすしかないものですから妙に子供っぽくなったりします。 (続く)