★基本★ 立つ、歩く
<稽古記録>
2017/12/22(金)18:30-20:00 地下道場 <参加者> 2名 <負傷者> 1名 (袴の仕付けを抜く時に誤って手を切る。ごく軽傷。)
今更⁉︎ でも普段の稽古では改めて練習する機会はあまりないですね。とても役に立つ、立ち方と歩き方の練習です。
【1】立つ
色々な立ち方があります。ここでは腰椎の前弯を強くして立ちます。湾曲は腹を突き出すのではなく仙骨を立てることで作ります。尻尾の付け根を高い位置にあげるかんじ。アフリカ人の腰からお尻にかけてのラインみたいにです。胸は広げて上向き。胸骨を天井へ向けるかんじ。顎は引き且つ俯かず、頭頂から吊り下がってるような浮いた体で。目は深く360°見ます(Fig.1 左)。
肩は完全に落としきるのではなく、少しホールドして脇はあける。要は「浮かんだ手」です(右)。
Fig.1 立つ
【2】歩く 〜 足を置く
足音が立つのは足の裏を固くペタンと置くからです。反らした足の裏を踵からジワジワと置いていきます (Fig.2)。何か地面に危険物があればすぐ引っ込められるように。こうすると、普段は地面につかない部分が着地する感覚があります。足の裏を見せるくらい反らせてから 「ペーーーータリ…」と置きます。能楽師の歩き方と少し似てます。
Fig.2 一足一足に全身全霊
【3】歩く 〜 上体を乗せる
さて、慎重に歩いていると腰が残って いわゆるヘッピリ腰になるかもしれません。まっすぐに固定された上体 (浮いた体) を、踏み出した側の大転子(大腿骨と骨盤のつなぎ目付近) にしっかりと乗せます (Fig.3)。こうした歩き方は見た目にも安定しています。
Fig.3 上体は乗っかっているだけ
【3】歩く 〜 後ろ歩き
同じように後ろ向きに歩こうとしてみてください。前向きよりはるかに難しいことが分かります。爪先から着地してじわじわと踵まで下ろすには、体の後面の筋肉が必要です。その筋肉が貧弱だと、トンと音を立てて踵が降りてしまいます (Fig.4) 。
Fig.4 案外難しい
【4】歩く 〜 ための筋トレ
足先を揃えての踵上げ下げ運動は、ふくらはぎだけを使っています。今度は足を出来るだけガニ股にして 上げ下げしてみましょう(Fig.5 A)。大腿の後ろの筋肉、お尻の筋肉、背中の筋肉、と体の後ろの筋肉群全てを使っていることが分かります(B) 。この足型での上げ下げ運動をして後ろの筋肉を鍛えましょう。技の中でも後に下がる動きは頻繁に出てきます。なんとなくとか勢いではなく、前進と同じように丁寧にステップバックするためです。
また、この後ろの筋群を意識すると立ち方も自然と【1】の立ち方になると思います。これはシェイプアップにもよいのでしょう。この筋群が鍛えられている人は後ろ姿に年寄りくささがありません。頑張りましょう。
Fig.5 始めは1日3,4回から
【5】歩く 〜 内股矯正・一直線
癖や骨格で 片方または両方が内股になることがあります。撞木の足にしようと心がけるだけでは、動きの中で無意識の内に実践することはできません。癖を書き換えるしかありません。そこで外股歩きの練習です。
踏み込む側の足は、着地寸前に踵を内に入れる。爪先を外にするのではなく、踵を内に、です。地上20㎝の板を踵で蹴り折るように (Fig.6) 。着地寸前までは、内股でも構わないです。その方が自然です。
Fig.6 練習の時は大袈裟に
【6】 歩く 〜 練習おまけの護身術
この蹴り折る動作は大変強いので、対面する悪漢の脛に落とすと効きます。その時は目線も上体も動かさず、足だけで不意にやってください (Fig.7) 。内輪のケンカ程度には使ってはなりません。
Fig.7 ノーモーションでいきなり。
<Debreafing>
やり方の差異はあれ、立ち方はどの道場でもわりと教えます。ところが歩く動作をじっくりやることは稀です。技は転換が全てとはいえ、歩く動作はそれ以前のことです。まず「歩く」ができてなければ、その上に乗せる技をいくら稽古しても正しくなく、勿体ないです。指導する順番を組み直すことになりました。
深部体性感覚のコントロール
骨盤や仙骨の角度、仙腸関節などは意識して動かすのが難しいです。私は「自分にしっぽがあるとしたら」どう動くか、を時々使います。白帯時代、体位の転換で勢いよくやるとぐらついて仕方ありませんでした。色々工夫してみて、「自分にしっぽがあるとしたら」と想像して動いてみると、とてもやりやすいことに気づいたのです。犬や猫はしっぽでバランスをとって素早く方向転換したりします。それど同様にすると体の軸が安定するのです。
転換するとき想像のしっぽを立てて残すとつんのめらない
ここでの立ち姿勢は、腰椎の湾曲が強くなります(Lordosisと言います。下図参照)。
(Lordosis | Boston Children's Hospital)
これはヘタをするとお腹が突き出てアヒル歩きになってしまいます。そうではなく仙骨を立てたままクッと引き上げる(これには【4】で述べた後ろ側の筋肉を使います)。体性感覚がよく分からない場合は、しっぽを想像してみてください。お腹を突き出したダランとた姿勢では、しっぽもダランとしているでしょう(A)。しっぽを立てて、かっこよく山形に張っていると想像してください。背中~尾骨の筋が収縮して仙骨が浮き上がります(B)。そして気分が張り詰めます。研ぎ澄まされたような、いい意味での緊張感と警戒心です。
(http://catchyimages.nl/over-mij/)
優しい味付。オジヤはジューシーと言いますが、バターを乗せたのは初めてでした。マイルド。0時迄。