<稽古記録>
冬季集中コースが始まりました。
基本の体捌きの続きで、足を引く転換です。
【1】腹の一点
体捌きの、というか合気道の意識の主座は腹の下です。たんでんなどいう場所ですが、力を込めるでなく意識します。例えば、初めは自分を包むほど大きな球が1/2ずつ小さくなっていき、どんどん小さく、腹の下で体積のない点まで…。ポイントは1/2に縮み続けるのでいつまでもゼロにはならないというところです。つまり、ここで小さくし終わり、という状態はあり得ず、「いつまでも、無限に小さくし続ける」。し続けることがポイントです。
意識が腹の点を凝縮することに集中しているので全体的に無為自然となり、浮いた体を維持したまま動くことができます (Fig.1)。攻撃を仕掛けて来られても、すれ違えばそれが技。実際 安定しつつもフワフワと 新しい感覚ですよ。
Fig.1 腰は重く安定し かつ体は軽い
お腹を意識するための手法はさまざまです。私は宇宙が好きなので、この腹にブラックホールを生成するようなイメージが大好きです。(以前から世界は自分の頭蓋内にしかないという認識があり、事実であるから仕方ないものの少々虚無感を伴いました。しかし同じ「内にのみ存在する」にしても、「腹の中」というのは痛快なのですね。頭でなく腹。これはなぜかお気楽になれるのです お悩みの方は試してみてください。)
腹のマイ・ブラックホールは稽古相手を吸い込み、街を吸い込み、騒音を吸い込みます (Fig.2)。地道にイメージを続ければいずれ巨大な木星も吸い込んでしまいます 。行ってみたくてたまらなかった外周の惑星も、そのうち向こうから寄ってきてくれるわけです。でも無になる心配はありません。宇宙は広いのでこのスピードで一生吸い込み続けても、真隣の星雲にすら気付かれない分量しか吸わない計算です。
Fig.2 とても楽しいイメージトレ
【2】基本の転換
片足を引く転換。突に対して斜め後ろに右足を引き左を寄せる (Fig.3)。この時左足のつま先は相手に向く。言われ尽くしていることですが、癖があるのでしっかり治します。
Fig.3 片方裸ですが同一人物
【3】三方向に
斜め後ろのほか、同じ足捌きで真横に。斜め前に。さらにすれ違うようにして受の背後にもまっすぐ到達できるようにしましょう。
【4】落とし
この足捌きで背後を取ったら、フック状に固めた手を受の両肩に深く掛け、カクンと落とします。かかると受は真下に落ちるので踏まれないように落とすと同時によけましょう(Fig.4)。
手の形がポイントです。ぎゅうと掴むと受は踏ん張ってしまう。フック状の掌を受の体前面に触れさせることで、受の無意識に「前方には壁みたいなものがある。前には行けない。」と勘違いさせると、受の動きはとても制限されます。重心が後ろ気味になるので、ちょっとバランスを崩してやると尻餅をついてしまいます。
Fig.4 おんぶおばけ
【5】すり抜け・かわし
この足捌きと両手の使い方を素早く連続してできるようになると、掴みかかってくる複数の受を、すり抜けて転がせます。多人数掛です。Fig.4のようにしっかり下に落とすと時間がかかるので、かわした勢いで向こうに放り投げるように。闘牛士の動きです。慌てて雑にならないようお稽古しましょう。
【6】両肩取前受身
足を引く捌きの技をもう一つやりました。相対し前から両肩を掴まれます。一方の足を引いて回る (Fig.5左上では左足)。この時 受けに擦り寄るのではなく受を巻き取るように。受の右腕は伸びます。できれば右肩で受の右肘を引っ掛ける(上中図の☆)ようにします。そのまま回転して巻き取っていき、受が崩れたところでお辞儀。受が顔面から落ちないように前受身を取らせます。
Fig.5
【7】スキップ
一対一でないときは、長い距離を移動しなければならない場合もあります。合気道といえば摺足、という教えもありますが、別に摺らなくていいです。スキップはスピーディで便利です。ただし他の運足同様、着地でぐらつかないよう工夫は必要です(Fig.6)。
Fig.6 着地の足は歩幅を取って安定
<Debreafing>
一つの足型だけを、バリエーションや技への応用でひたすら行うのはとてもよい稽古です。理解が深まり、身体的にも納得度が上がりますね。
運足は道場によって異なります。面倒を避けるため袴は足を隠すのに便利です。岩田商会さんは大正時代からあるお店で、電話で注文でき商品は郵送してくれます。お支払いは商品が届いてからの振込という信用商売。志の輔師匠の「先用後利」を思わせます(富山の薬売りの心意気を題材にした落語)。長さの選択肢が多く、個別の要望も聞いてくれるようです。
岩田商会 (http://iwataco.com/main.html)
柔らかく軽い
@ CAN BASHI (https://www.facebook.com/pages/Can-Bashi/428250167344274)
真っ暗な川沿いにできた店。珍しい本場のカタルーニャ大衆料理と陽気な雰囲気で 瞬く間に人気が出ました。日本語OK。予約無しでフラリと立寄るのは難しくなりそうです。