大阪合気道自主稽古会

流派を問わない合気道の稽古場です。小説、漫画、などが混在しています。稽古記録はタグをご利用ください。出典明記があれば図の引用については問い合わせ不要です。。

中心帰納稽古3

 2017年11月23日無元塾中心帰納稽古の記録 その3です。

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【9】体位の転換

13点目:空間と一体化

前もって中心帰納することにより、掴まれる前から一体化しておけることは前々回に出てきました。それをもうすこし詳しくやります。正確に言うと一体化おは相手とだけ繋がっているのではなく、外界と一体化する結果、外界の一部である相手も一体化している状態です。

こちらから触りにいく時も同じです。逆にわざと中心帰納せずにおり、触る寸前に急に中心帰納すると、受け手としては肩透かしをくらったような独特の感触を受けました。受のビックリ度合いが高く、一瞬麻痺しやすいように思います (Fig.1)。ビックリさせる系の内面技法に似る。

f:id:fanon36:20171126002548p:plain Fig.1 受はやられてしまいそうな「嫌な感じ」を受けます

中心帰納すると、空間全域が一体化です。ということは、同じ部屋にいる関係ない人も一体化してしまうのでしょうか。分かりませんが、たまたま部屋にいる関係ない人は一体化されていることに気づかないのではないかと思います。相対する人に一体感効果が出るのは、「目の前で構えている=強い存在感があるはず」なのに「一体化していて、いないみたい」というズレが引き起こす脳と末梢神経の混乱が、受を一時的に弱化するのだろうと思うからです。もともと相対していない無関係な人(たまたま入口あたりで待っている宅配業者など)は、ズレるベースの関係性すら無いからです。

むかしある道場で、こんな道場長がいました。門人2人に結ぶ稽古をさせ、自分は壁を向いて立ち、結んだ瞬間に「あ、今結んだでしょう」と言い当てるのです。白帯の人達はそれを超能力のような気の力だと沸き立ち、その道場長を神格化しているようでした。このケースでは、離れたところにいても積極的に係っている場合は相対しているのと同様 (多人数掛と同じ状況)なので、あの嫌な感じやゾワッとする感覚を感じ取れても不思議ではなく、超能力ではないです。教える立場であれば初心者に芸を見せて尊敬を得るより、適切な練習により全員が習得するよう指導する方がスマートだったでしょう。(その道場はいつしか閉鎖されました)

 

14点目:出す時は360°

5点目で、「中心帰納は呼吸のように絶えず出し入れするイメージ?」と言いました。そのわりには中心帰納 (入れる) 話ばかりしてきましたが、ここでは出すときの話をします。相手に向かってではなく、全方位360°に出す。水平方向360°だけではありません、立体的360°です。爆発物のようにです (Fig.2 左) 。

相手=自分であれば相手の方向というのは無いのだから、方向性はないです。つまり全方位です。両手を使えばさらに全方位感が出ます。このあと、もちろんまた入れます。

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Fig.2 よくある四股踏みラジオ体操のようにではなく ( これは歌舞伎っぽくて見栄えするが次の動作にすぐ移れない)、自然に伸びるバンザイ

 

【10】急に強く掴まれるとき ~ 15点目:第二の本能

屈強な大男に急に強く体をつかまれると、誰でもビクッと緊張し掴まれたところへ意識がいってしまいます。中心帰納をしていても中々慣れません。急な肉体的侵襲にびっくりするのは生存のために必要な本能なので、コントロールするには時間とエネルギーを要します。13点目(空間とつながる) を根気よく訓練し、「急な刺激を受けたとき反射的に中心帰納を行う」という第二の本能をインストールしましょう。

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Fig.3 第二の本能ができると、受は真空を掴むような心もとなさ、掴んでいるのに何もないという混乱を感じます。

【11】正面打籠手切~中心帰納される感触

これまで述べてきたように、何かするたびに中心帰納を繰り返して捌きます。例えばFig.4の☆は中心帰納やり直ししてる時です。なにかする前に、真面目に中心帰納する。とくにここぞというとき(ここでは籠手切しようというとき)に浮足立たずに、冷静に中心帰納します (金色の☆)。

この時のように間近で中心帰納されると、受は「ぞっ」とします。鳥肌が立つような、ジェットコースターで落下するときのような、正直キモチワルイです。それで抵抗する気分が萎えてしまいます。

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Fig.4 最後まで真面目に。

【12】16点目:陰として使う

 交差持呼吸法の動きは、こちらに吸い込んで(陰)から、出す (陽)という回転です。多くの人が困っている点だと思いますが、受が力持ちだと吸い込むときに合わせて押し込まれてしまいがちです。この陰を体は動かさず意識だけ陰にすることで代用すると、押し込まれにくくなります。中心帰納のイメージが紅葫蘆(「西遊記」に出てくる金角の吸い込み瓢箪) だとすると、中心帰納は陰ぽいですね。そこで、掴まれる⇒手は張ったまま中心帰納⇒陽に転じる、という、押し込まれる隙を与えない運動です。十分に練習できませんでしたが、日常の道場で試してみたいことです。

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Fig.5 左:引く動きをしていないので受に押し込む隙を与えにくい

【13】座り呼吸法

17点目:坐位でも立位と同じ

白帯時代から混乱し続けている座り呼吸法。段階的にコツコツ練習していきます。① 中心帰納7点目、浮いた体と折れない手を作り、出す。② 持たせて結ぶ。③ もう一度中心帰納し、周囲の気配・後ろの物音・床の硬さ・気温などを感じ (脳幹意識)、腕でなく腹で結ぶ感覚になることを確認する。④ 意識で入り身する。立っているときと同じくただすれ違うように。

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Fig.6 右図では上肢が動いているが、意識が動いた結果自然に動くだけ。気分的にはあくまでもすれ違うときのように体幹が移動している。

座り呼吸法は普段の稽古で使ってみましたが、白帯の人に教えるときに教えやすかったです。項目にわけて一つずつ練習していける短期目標があるので、漫然とした手探り稽古と違い 根気よく頑張れます。

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これでこの日の稽古の内容は終わりです。何か月か稽古したあと、もう一度同じ合同稽古に参加したら また違うことが分かるでしょう。また、私が聞き逃したり、理解してなかったり誤解してたりが必ずあります。興味のある人は是非一度ご参加お勧めします。

余談ですが、この稽古会に参加した直後に、普段なら呪いたくなるほど忙しい仕事が入っていたのですが、中心帰納の練習をしながら過ごしていたら、奇跡的にトラブルゼロでした。嬉しかったけど関係ないでしょうし、このように結果や利用方法に着目してしまうと 遠回りです 注意。

次回は最終回、自己学習のやり方の提案や、応用例など。