オオタニワタリは 大人の肘から先ほどもある大きな薄い葉で両端がクルクル巻いて繁る。刻んで炒めれば全部食べられる。硬いわりにあくがない。春から夏の終わりまでは若芽が大量に取れるのでわざわざ硬い葉を食べることは少ない。若芽は柔らかくほとんど生でもしゃきしゃきいける。
切り通しの南斜面にある天然のオオタニワタリ畑で若芽を取ってきてくれる子供がいる。四年生に上がるころから学校へ行かなくなったので時間があるのだ。順当に行けばとっくに中学生だが農民みたいに暮らしている。
この辺りは気候のおかげで野菜がよく育ち、種類を選ばなければ食べていける。それでも野菜は歩いては来ないので、あまりものを運んでくれる子供は役にたった。だからたまに必要になる喘息の吸入はタダでやってやる。母親は小学校の先生で、ツチダ先生という。父親は家で習字教室をしている。子供は習字はやるようだ。秋の町内文化祭で習字を発表していた。孤客最先聞とかなんとかだ。上手くはなかった。墨は黒々と良くすれていた。